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国際輸送コストの上昇局面と越境EC出荷|燃油サーチャージ高騰でコスト設計をどう見直すか

  • EC・物流インサイト
2026年6月22日 公開

この記事は約13分で読めます

国際輸送コストの上昇局面と越境EC出荷 アイキャッチ画像

越境ECの利益を圧迫する要因として、2026年に入って国際輸送コストの上昇が無視できなくなっています。背景にあるのは中東情勢による燃料供給の混乱で、航空会社は燃油サーチャージを引き上げ、国際運賃も上昇局面に入りました。輸送費は事業者の側でコントロールしにくい外部要因ですが、放置すれば1件あたりの利益が静かに削られていきます。この記事では、国際航空貨物市場で何が起きているのかをIATA(国際航空運送協会)の最新見通しから整理し、越境EC出荷への影響と、EC事業者がとるべきコスト設計の見直しを解説します。コントロールしやすい国内物流から手を打つ考え方は発送代行の活用もあわせてご覧ください。

この記事の内容

  1. 国際輸送費はなぜ上がっているのか|2026年の航空貨物市場
  2. 燃油サーチャージの見直し頻度も上がっている
  3. 越境EC出荷コストへの影響
  4. EC事業者がとるべきコスト設計の見直し4点
  5. コントロールできる国内物流から最適化する
  6. まとめ:外部要因に振り回されない物流コスト構造へ
  7. よくある質問(FAQ)

国際輸送費はなぜ上がっているのか|2026年の航空貨物市場

コンベアラインが複数交差する出荷フロア全景(広角)
コンベアラインが複数交差する出荷フロア全景(広角)

2026年の航空貨物市場は、需要の伸びが鈍化する一方でコストが急増する、というアンバランスな状況にあります。越境ECの小口貨物の多くは航空便で運ばれるため、この変化は出荷コストに直結します。

中東情勢と燃料供給の混乱

2026年3月初頭にホルムズ海峡周辺の航行が混乱し、ジェット燃料の供給に影響が及びました。原油や航空燃料の供給不安は、そのまま航空会社のコストを押し上げます。輸送ルートの一部にも遅延が生じ、需要面でもマイナスに働きました。

航空会社の燃料費は2025年の約2,520億ドルから2026年には約3,500億ドルへと、およそ4割増加する見通し。貨物収入は2025年の約1,510億ドルから2026年には約1,620億ドル(7.2%増)に増えるが、これは燃料価格の上昇分を運賃に転嫁した結果という側面が大きい。航空貨物需要の伸びは中東情勢の混乱を受けて下方修正された。

出典:IATA(国際航空運送協会)プレスリリース(2026年4月)

需要鈍化とコスト増のアンバランス

つまり、運賃が上がっているのは需要が旺盛だからではなく、燃料という原価の上昇分が荷主に転嫁されているからです。需要要因の値上がりなら需要が落ち着けば下がりますが、原価転嫁型の値上がりは下がりにくいのが特徴です。国際物流の全体像は物流の仕組みで体系的に把握でき、各国の関税動向はジェトロの世界各国の関税率で確認できます。

越境ECの小口貨物は、コストよりもスピードを優先して航空便で運ばれることが多いため、航空運賃の上昇は出荷コストに直結します。海上輸送に切り替えればコストは下がりますが、リードタイムは大きく伸びます。つまり「速いが高い航空」か「安いが遅い海上」かというトレードオフが、これまで以上に重い経営判断になってきました。小口・高頻度の出荷を続けるほど、運賃改定の影響を受けやすくなります。

燃油サーチャージの見直し頻度も上がっている

燃料価格の変動を運賃に反映する仕組みが燃油サーチャージです。国際貨物では、この見直しの頻度そのものが上がっている点に注意が必要です。従来は数か月単位で改定していた事業者でも、燃料価格の急変に対応するため、改定の間隔を短くする動きが出ています。

サーチャージが「読みにくいコスト」になる

改定が頻繁になると、出荷時点の送料が見積りどおりにならないケースが増えます。とくに販売価格に送料を含めて表示している越境ECでは、サーチャージの上振れがそのまま利益の目減りにつながります。航空貨物をめぐる行政の動向は国土交通省の航空貨物に関する情報でも確認できます。

国内物流でも進む燃料コスト転嫁

燃料コストの転嫁は国内のEC物流でも進んでいます。Amazonが導入したFBAの燃料サーチャージはその代表例で、国内外を問わず「燃料連動コスト」が物流費に組み込まれつつある流れが見えてきます。FBAと外部委託のコストを比べる視点はFBAと発送代行の比較が役立ちます。

国内のトラック輸送でも、燃料費や人件費の上昇を反映する形で運賃の引き上げが進んでいます。国土交通省は標準的運賃を見直し、運賃水準の引き上げと荷役の対価の加算を打ち出しました。

国土交通省は新たなトラックの標準的運賃を告示し、運賃水準を8%引き上げるとともに、荷役の対価等を新たに加算した。

出典:国土交通省「新たなトラックの標準的運賃を告示しました」

このように、国際・国内のどちらでも輸送費は上昇基調にあります。事業者がコントロールできない外部コストが増えるからこそ、社内で削減余地のある物流オペレーションを効率化することの価値が相対的に高まっています。

越境EC出荷コストへの影響

国際輸送費の上昇は、越境EC事業者の損益に複数の経路で影響します。

国際輸送費の上昇が波及する経路 燃料費の急増 (約4割増の見通し) 運賃・サーチャージ 上昇・改定の頻発 送料の上振れ 価格競争力の低下 利益率の悪化 原価(燃料)転嫁型の値上がりは、需要が落ち着いても下がりにくい

影響を受けやすい事業者

特に、低単価・大量販売を強みにしてきた事業者ほど、送料が利益に占める比率が高く、影響が大きくなります。米国向けでは関税負担も加わるため、輸送費と関税の両面でコスト構造を組み直す必要が出てきます。関税側の変化はデミニミス改正と越境ECに整理しています。価格の前提が崩れるなかで、中国発のプレーヤーが現地倉庫へ軸足を移している動きは中国発越境ECの国内倉庫シフトに、Temuの物流戦略はTemuのEC物流モデルに整理しており、各社の打ち手が役立ちます。

影響の大きさは商材の単価と重量で変わります。軽量・高単価の商材は、輸送費が販売価格に占める比率が小さいため相対的に打撃が小さく、かさばる・重い・低単価の商材ほど運賃上昇の影響をまともに受けます。自社の主力商材がどちらに近いかを見極め、運賃が上がっても利益が残る価格・配送設計に組み替えることが、出荷を続けるための前提になります。たとえば同じ売上でも、軽量品を中心に扱う事業者と大型品中心の事業者では、輸送費上昇による利益の目減り幅が大きく異なります。自社の商材構成を「輸送費が利益に与えるインパクト」の観点で一度棚卸しし、影響の大きい商材から優先的に価格や梱包サイズの見直しに着手すると、限られた工数で効果を出しやすくなります。輸送費の上昇局面では、すべての商材を一律に値上げするより、影響の大きい商材に絞って価格と物流を最適化するほうが、顧客離れを抑えながら利益を守れます。

EC事業者がとるべきコスト設計の見直し4点

外部要因である輸送費そのものは下げられませんが、コスト構造の組み方は事業者が選べます。実務的な打ち手は次の4点です。

打ち手狙い
送料を価格に正しく織り込むサーチャージの上振れを見込み、薄利出荷の赤字を防ぐ
配送手段を分散・比較する国際郵便とクーリエをコスト・納期で使い分ける
まとめ出荷・現地在庫を検討する単位あたりの輸送費を抑える
国内物流コストを下げる制御できない国際費の上昇を国内効率化で吸収

配送手段の比較

国際郵便(EMS・eパケット等)とクーリエ(国際宅配便)は、コスト・リードタイム・関税対応の点で性格が異なります。商品単価や緊急度に応じて使い分けると、輸送費の最適化につながります。

比較軸国際郵便クーリエ(国際宅配便)
コスト感小口・低単価で割安なことが多い相対的に高め
リードタイム標準的速い・追跡が手厚い
関税前払い対応前払い手続きが前提化DDP対応のサービスが豊富

まとめ出荷や現地在庫の検討、出荷規模に応じた体制づくりはEC出荷量の段階別物流設計が、外注の判断軸は3PLの全体像が役立ちます。通関書類まで含めた発送支援は小規模輸出者向けの国際発送代行も選択肢です。

まとめ出荷や現地在庫の活用は、輸送費が上昇する局面でとくに効果を発揮します。小口の荷物を都度航空便で送るより、一定量をまとめて送ったほうが1個あたりの輸送費は下がりやすく、現地倉庫に在庫を置けば購入者への配送距離も短くできます。一方で、まとめ出荷は在庫リスクや保管コストとのバランスが問われます。販売数量が安定している主力商材から段階的に切り替えるのが現実的で、需要が読みにくい新商材は小口出荷を維持するなど、商材ごとに方針を分けるとよいでしょう。

コントロールできる国内物流から最適化する

燃料価格や為替、国際情勢は、どれだけ努力しても事業者の側ではコントロールできません。だからこそ、利益を守る現実的な一手はコントロールできる国内物流のコストを最適化することです。国内の保管・梱包・出荷を効率化できれば、国際輸送費の上昇分を吸収する余地が生まれます。

役割を分けた物流設計

国内の出荷を発送代行に任せれば、自社で人員や設備を抱えずに、出荷件数に応じた変動費で物流を運用できます。STOCKCREWの場合、初期費用・固定費0円、基本配送料は全国一律260円〜で、AMR110台が稼働する倉庫から最短7日で国内出荷を回せます。EC物流全体の組み立て方はEC物流の全体像で、フルフィルメントの工程はフルフィルメントの解説で確認できます。

なお、STOCKCREWの出荷はヤマト運輸・佐川急便が中心の常温対応で、国際輸送そのものを代行するものではありません。海外発送は国際郵便やクーリエと組み合わせ、国内物流は発送代行で安定させる——役割を分けて設計するのが、コスト変動に強い構造です。サービスの詳細はSTOCKCREWのサービス内容で確認できます。

国内物流の効率化は、単発のコスト削減にとどまりません。出荷を外部の自動化倉庫に委ねれば、繁忙期の人員採用や設備投資の固定費を抱えずに済み、出荷量の増減に合わせて柔軟にコストが動きます。国際輸送費という読みにくい変動要因を抱える越境ECだからこそ、足元の国内コストを変動費として読みやすくしておくことが、利益のブレを抑える土台になります。まずは自社の出荷件数と商材で、現状の物流コストと外注時のコストを並べて比較するところから始めるとよいでしょう。

国際輸送費の高止まりは、すぐに解消する見込みが立ちにくいテーマです。だからこそ、外部環境の変化に一喜一憂するのではなく、自社でコントロールできる領域に集中して構造を強くすることが、越境ECを続ける事業者の現実的な戦略になります。国内物流の変動費化、配送手段の使い分け、価格への適切な転嫁——この3点を組み合わせれば、運賃が上下しても利益が大きくぶれない体質に近づきます。輸送費の上昇を「価格を見直すきっかけ」と捉え直すことが、結果的に収益力の底上げにつながります。

あわせて意識したいのが、輸送費と同時に動きやすい為替の影響です。円安が進めば仕入や海外発送のコストはさらに上振れし、輸送費の上昇と重なって利益を圧迫します。為替も事業者がコントロールできない外部要因である以上、できることは同じで、社内のオペレーションコストを下げて吸収余地を広げておくことに尽きます。国内物流の効率化は、輸送費・為替・関税という複数の外部変動に対する共通の「守り」として機能します。短期の値動きに反応して価格をこまめに変えるより、コスト構造そのものを強くしておくほうが、長期的には安定した利益につながります。

まとめ:外部要因に振り回されない物流コスト構造へ

2026年の国際輸送費は、中東情勢に起因する燃料費の急増を背景に、運賃と燃油サーチャージの両面で上昇局面にあります。IATAの見通しでも、運賃上昇は需要要因ではなく原価転嫁型で、下がりにくい性質を持ちます。越境EC事業者は、送料の織り込み・配送手段の比較・まとめ出荷や現地在庫の検討に加え、コントロールできる国内物流コストの最適化で利益を守る発想が効いてきます。国内の出荷体制を発送代行で変動費化しておけば、外部要因の変動に経営資源を奪われにくくなります。サービスの具体像はSTOCKCREWのサービス内容で確認でき、自社の出荷規模に合った国内物流の組み方は、お問い合わせや資料ダウンロードから具体的に相談できます。

よくある質問(FAQ)

Q. 2026年に国際輸送費が上がっているのはなぜですか?

中東情勢の緊迫でジェット燃料の供給が混乱し、航空会社の燃料費が大きく増加したためです。IATAの見通しでは燃料費は前年比でおよそ4割増とされ、その上昇分が運賃や燃油サーチャージに転嫁されています。

Q. 燃油サーチャージはこれからも上がり続けますか?

燃料価格に連動するため断定はできませんが、原価転嫁型の上昇は需要が落ち着いても下がりにくい傾向があります。改定の頻度自体も短くなっているため、上振れを前提にコストを設計しておくのが現実的です。

Q. 越境ECで輸送費の上昇に対応するには何をすべきですか?

送料を価格に正しく織り込む、配送手段をリードタイムとコストで比較する、まとめ出荷や現地在庫を検討する、そしてコントロールできる国内物流コストを下げて全体の利益を守る、という4つの打ち手が有効です。

Q. 国際郵便とクーリエはどちらを使うべきですか?

小口・低単価なら国際郵便が割安なことが多く、納期重視や高単価品ではクーリエが向きます。関税前払い(DDP)への対応状況も含めて、商品単価と緊急度に応じて使い分けるのが現実的です。

Q. 国内の発送代行は国際輸送費の上昇とどう関係しますか?

国際輸送費は事業者側で下げられない外部要因です。一方で国内の保管・出荷コストは効率化で下げられます。国内物流を発送代行で最適化すれば、国際側の上昇分を吸収する余地が生まれ、越境EC全体の利益を守りやすくなります。

Q. STOCKCREWは国際配送も代行できますか?

STOCKCREWの出荷はヤマト運輸・佐川急便が中心の常温対応で、国際配送そのものを代行するサービスではありません。国内の保管・出荷を安定させる役割を担い、海外発送は国際郵便やクーリエと組み合わせて設計するのが現実的です。

この記事の監修者

重光翔太

重光翔太

株式会社KEYCREW 営業管掌取締役。ヤマト運輸にて本社営業部長を歴任し、物流業界で16年以上のキャリアを積む。法人営業・コスト最適化・業者比較選定を専門とし、累計1,500社以上のEC事業者への物流支援を手がけてきた。数百万件/日規模の出荷オペレーション管理や、6,000社が利用するフルフィルメントサービスの構築、温度帯コールドチェーンの大規模荷主向け事業設計など、業界でもトップクラスの実績を持つ。STOCKCREWでは営業戦略全体を統括し、「数字で語り、ROIで証明する」をモットーに、EC事業者の物流コスト最適化を推進している。

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