ホルムズ海峡危機で海上運賃・燃料費が高騰|越境EC事業者が取るべき対応策【2026年6月】
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輸入仕入れや越境販売を行うEC事業者にとって、2026年に入ってからの物流コストの上振れは無視できない水準になっています。背景にあるのが中東情勢の緊迫と、それに連動した原油・ナフサ価格の高騰です。海上運賃、航空便の燃料サーチャージ、樹脂系の梱包資材費が同時に上がり、仕入原価から発送コストまでが一斉に押し上げられています。本記事では、いま何が起きているのかを整理し、コスト上昇を吸収するために越境EC・輸入事業者が取るべき具体策を解説します。物流費そのものの構造を見直したい方は、あわせて発送代行の仕組みと費用の全体像も確認しておくと判断がしやすくなります。
いま何が起きているのか:中東情勢と物流コストの連鎖
2026年6月時点で、ホルムズ海峡をめぐる中東情勢は依然として流動的な状況が続いています。米国とイランの間で戦闘終結と海峡再開を柱とする暫定的な合意に近づいているとの報道がある一方、署名の時期や内容をめぐる発表は食い違ったままで、原油供給への不安は解消されていません。世界の原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の混乱は、原油価格だけでなく、LNG・LPG・石油化学品にまで影響を広げています。
EC事業者にとって重要なのは、この地政学リスクが複数の経路をたどって物流コストへ波及する点です。原油から分離されるナフサは、プラスチックや樹脂、包装資材の主原料です。原油・ナフサが上がれば、海上運賃に上乗せされる燃料費、航空便の燃料サーチャージ、トレーやフィルムといった梱包資材の価格が、ほぼ同時に押し上げられます。下図のように、ひとつの地政学リスクが分岐しながらコストを積み上げていく構造になっています。
この連鎖は一過性のものではありません。燃料サーチャージは原油価格に連動して数か月遅れで改定されるため、足元の価格上昇は今後数か月にわたって運賃に反映され続けると考えておくのが現実的です。国際物流の動向を中長期で把握したい方は、国際物流の多元化・強靱化の流れもあわせて押さえておきましょう。
越境ECを直撃する3つのコスト上昇
輸入仕入れや海外発送を伴うEC事業では、今回の局面で特に次の3つのコストが上振れします。それぞれ性質が異なるため、分けて把握しておくことが重要です。
- 海上運賃・コンテナ運賃——燃料費の上昇に加え、海峡の混乱による迂回や混雑が運賃を押し上げます。コンテナ単位での輸入を行う事業者は、1本あたりの輸送費が直接効いてきます。輸送方式の選び方はフォワーダー選定の観点もあわせて検討すると精度が上がります。
- 航空便の燃料サーチャージ——少量・高単価品やサンプルを航空便で動かす場合、燃料サーチャージの引き上げがそのまま送料に乗ります。EMSやDHL Expressなどの国際配送サービスでも、燃料費連動の追加料金は避けられません。
- 樹脂系の梱包資材——緩衝材・フィルム・トレー・テープなどはナフサ由来の製品が多く、原料高がそのまま値上げにつながります。すでに梱包資材の値上げラッシュは本格化しています。
なぜ輸送モードの切り替えだけでは足りないのか
厄介なのは、この3つが同じ原因(原油・ナフサ高騰)から同時に発生する点です。たとえば「海上運賃が上がったら航空に切り替える」といった単純なリスク回避が効きにくく、どの輸送モードを選んでも燃料費の影響からは逃れられません。輸入では運賃や資材費だけでなく、商品にかかる関税・輸入消費税も総コストの一部です。税率や課税価格の算定方法は税関の実行関税率表で確認でき、関税を含む輸入時のコスト全体を一度棚卸ししておくことが欠かせません。ランディングコスト(商品が手元に届くまでの総コスト)で利益率を再計算し、どの費目がどれだけ上がっているのかを可視化しておきましょう。
国内EC事業者にも波及する理由
「うちは国内販売だけだから関係ない」と考えるのは危険です。原料高はサプライチェーンの川上から川下へ時間差で伝わるため、国内で仕入れて国内に売る事業者にも確実に波及します。原材料の多くを輸入に頼る日本では、海外の原油・資源価格の変動が国内価格に伝わりやすく、輸入の仕組みはJETROの輸入手続き解説でも整理されています。
食品値上げに見る「包装・資材」の波及
原料高の影響がもっとも見えやすいのが食品分野の値上げです。
2026年6月の飲食料品値上げは合計1,078品目となり、1回あたりの平均改定率は14%だった。6月以降の値上げでは、中東情勢の影響を受けて、トレーやフィルムの原料となるナフサの値上げ分を価格に反映する動きもみられた。
注目すべきは、値上げの理由として「原材料」だけでなく「包装・資材」が要因に挙がっている点です。商品そのものの原価だけでなく、それを包む資材のコストが利益を削り始めています。EC事業者にとっては、商品原価・梱包資材費・送料という原価率を構成する複数の要素が同時に上がることを意味します。
市場は拡大、しかし利益率は別問題
EC市場そのものは拡大を続けています。国内のBtoC-EC市場規模は右肩上がりで、需要が縮小しているわけではありません。
令和6年のBtoC-EC市場規模は26兆1,654億円となり、前年から拡大した。このうち物販系分野は引き続き市場の中心を占めている。
市場は伸びていても、コスト構造が悪化すれば手元に残る利益は痩せます。売上の拡大と利益率の確保を両立させるには、サプライチェーン全体でのコスト管理が欠かせません。送料そのものを下げる工夫は、荷物を安く送る方法の観点からも見直す余地があります。
越境EC・輸入事業者が取るべき4つの対応策
コストが複数経路から同時に上がる局面では、1つの施策で全部を吸収しようとせず、効果の異なる対策を組み合わせるのが定石です。下図の4つを軸に、自社の構造に合わせて優先順位を付けてください。
① 配送の多元化でリスクを分散する
特定のキャリアや輸送モードに依存していると、その経路の値上げをまともに受けます。国際便と国内便、複数のキャリアを使い分けられる体制を整えておくと、値上げ局面でももっとも条件の良い経路へ切り替えられます。輸入後の国内配送では、ヤマト運輸・佐川急便など複数キャリアを使い分けられるかどうかが、送料の最適化に直結します。
② 価格・送料設定を見直す
送料を据え置いたままコストだけが上がれば、利益は確実に削られます。送料込み価格への切り替え、送料無料ラインの引き上げ、為替変動の織り込みなどを通じて、上昇したコストを販売価格へ適切に反映させる判断が必要です。値上げ前の駆け込み需要をうまく取り込めれば、改定の痛みを和らげられます。
③ 在庫・調達を前倒しする
海峡の混乱は輸送リードタイムの長期化を招きます。主力商品については通常より早めに発注・確保しておくことで、欠品と緊急の航空便利用(割高)を避けられます。ただし過剰在庫は在庫保持コストを膨らませるため、回転日数とのバランスを取ることが前提です。
④ 物流を外部化して固定費を変動費に変える
自社倉庫と人員を抱えていると、出荷量が落ちても固定費は減りません。保管・梱包・発送を発送代行に委託すれば、出荷した分だけ費用が発生する変動費型のコスト構造へ移行できます。コスト変動が激しい局面ほど、変動費化の恩恵は大きくなります。初めて外注を検討する場合はEC物流の外注化の進め方を押さえておきましょう。
この4つは優先順位を付けて段階的に進めるのが現実的です。すぐ着手できるのは①配送の多元化と②価格・送料の再設計で、いずれも社内の判断だけで動かせます。③在庫・調達の前倒しは資金繰りと相談しながら主力商品から、④物流の外部化は中期の構造改革として腰を据えて検討します。重要なのは、外部環境が落ち着くのを待つのではなく、コストが高止まりする前提で自社のコスト構造そのものを変動に強い形へ作り替えておくことです。値上げのたびに後追いで対応するのではなく、変動を前提に設計しておけば、次に同じような局面が来ても慌てずに済みます。
| 対応策 | 効きやすいコスト | 着手の目安 |
|---|---|---|
| 配送の多元化 | 国際送料・国内送料 | すぐ着手可能 |
| 価格・送料の再設計 | 粗利率の防衛 | 次の改定タイミング |
| 在庫・調達の前倒し | 緊急輸送費・欠品損失 | 主力商品から段階的に |
| 物流の外部化 | 固定費・波動対応 | 中期の構造改革として |
STOCKCREWで吸収できるコスト・できないコスト
発送代行は今回のようなコスト変動局面で効果を発揮する選択肢ですが、万能ではありません。何が吸収できて何ができないのかを正しく理解しておくことが、過度な期待による失敗を防ぎます。STOCKCREWのサービス全体像はSTOCKCREW完全ガイドで確認できます。
吸収しやすい:固定費と波動対応
吸収しやすいのは固定費と波動対応のコストです。初期費用・固定費が0円で、出荷した分だけ費用が発生するため、出荷量が変動しても倉庫の固定費を抱え込みません。保管から梱包、発送までを一括で委託でき、繁忙期の人員確保に頭を悩ませる必要もなくなります。国内配送はヤマト運輸・佐川急便を中心に行い、全国一律260円〜の配送料金が公開されているため、コスト試算もしやすくなっています。海外発送にも対応しており、越境販売の出荷インフラとしても活用できます。
吸収できない:外部要因による値上げ
一方で、原油・ナフサ高騰そのものに起因する値上げは、発送代行でも完全には消せません。キャリアの運賃や燃料サーチャージ、樹脂系資材の原料高は業界全体に共通する外部要因だからです。発送代行が貢献できるのは「自社で抱えると割高になる作業・固定費を最適化する」部分であり、外部環境による値上げ分は価格設定や調達の工夫で吸収する必要があります。なお、STOCKCREWは常温品の取り扱いに対応しており、冷蔵・冷凍や医薬品・酒類は対象外である点も、商材選定の前提として押さえておきましょう。
まとめ:単一の対策ではなく組み合わせで備える
ホルムズ海峡をめぐる中東情勢の緊迫は、原油・ナフサの高騰を通じて、海上運賃・燃料サーチャージ・梱包資材費という複数のコストを同時に押し上げています。輸入・越境を行う事業者はもちろん、国内販売中心の事業者にも、資材高と物流費高として確実に波及します。重要なのは、ひとつの施策で全部を解決しようとせず、配送の多元化・価格設計の見直し・調達の前倒し・物流の外部化を組み合わせて備えることです。
固定費を変動費に変え、出荷量の波動を吸収する手段として、発送代行は有力な選択肢になります。仕組みと費用の全体像は発送代行完全ガイドで、サービスの詳細はSTOCKCREW完全ガイドで確認できます。自社の物流コストを具体的に試算したい場合はお問い合わせから相談でき、コスト構造の考え方を体系的に学びたい方は資料ダウンロードもあわせてご活用ください。
よくある質問(FAQ)
Q. ホルムズ海峡の問題はいつ解消しますか?
2026年6月時点では、戦闘終結と海峡再開に向けた暫定的な合意に近づいているとの報道がある一方、署名の時期や内容をめぐる発表は食い違っており、確実な見通しは立っていません。情勢は流動的なため、解消を前提にせず、コスト上昇が続く前提で備えておくのが安全です。
Q. 国内だけで販売していても影響はありますか?
あります。原油・ナフサの高騰は、燃料費や樹脂系の梱包資材を通じて国内のサプライチェーンにも波及します。実際に2026年6月の食品値上げでは、トレーやフィルムの原料となるナフサの値上げ分を価格に反映する動きがみられ、包装・資材が値上げ要因に挙がっています。
Q. 海上運賃が上がったので航空便に切り替えれば回避できますか?
完全には回避できません。海上運賃も航空便の燃料サーチャージも、同じ原油価格の上昇を原因としているためです。輸送モードの切り替えは選択肢の一つですが、どの経路でも燃料費の影響は残るため、価格設定や調達の見直しと組み合わせて対応することが重要です。
Q. 発送代行に切り替えれば物流コストの上昇を防げますか?
外部環境による値上げ分そのものは防げませんが、自社で抱える固定費や繁忙期の波動対応コストを最適化できます。初期費用・固定費が0円で出荷分だけ費用が発生するため、出荷量が変動する局面でコストを変動費化できる点が利点です。
Q. 燃料サーチャージはどのくらいの頻度で変わりますか?
燃料サーチャージは原油価格に連動して、おおむね数か月ごとに改定されます。足元で原油が上昇している局面では、その分が時間差で運賃に反映され続けるため、当面はコストが高止まりする可能性を見込んでおく必要があります。
この記事の監修者
重光翔太
株式会社KEYCREW 営業管掌取締役。ヤマト運輸にて本社営業部長を歴任し、物流業界で16年以上のキャリアを積む。法人営業・コスト最適化・業者比較選定を専門とし、累計1,500社以上のEC事業者への物流支援を手がけてきた。数百万件/日規模の出荷オペレーション管理や、6,000社が利用するフルフィルメントサービスの構築、温度帯コールドチェーンの大規模荷主向け事業設計など、業界でもトップクラスの実績を持つ。STOCKCREWでは営業戦略全体を統括し、「数字で語り、ROIで証明する」をモットーに、EC事業者の物流コスト最適化を推進している。