消費者庁が環境ラベルの景表法上の考え方を公表|ECの「エコ」訴求と梱包アピールの点検リスト
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商品ページに「エコ」の葉っぱマークを置く。梱包に「プラ削減」と刷る。どちらもよくある表現ですが、根拠を聞かれて即答できるでしょうか。消費者庁は2026年8月20日、「環境ラベルに関する実態調査報告書」を公表しました。調査対象はECサイトなどインターネット上の広告表示に使われている環境ラベル139種類で、そのうち相当数が「何がどこまで環境に配慮されているのか」を示せていないと指摘されています。この記事では、報告書が示した景品表示法上の考え方と、EC事業者が商品ページと梱包で点検すべき箇所を整理します。出荷まわりの全体像は発送代行の仕組みと費用にまとめてあります。
消費者庁が公表したのは何か
調査の対象はEC上の広告表示
今回の報告書は、消費者庁表示対策課が景品表示法の観点から環境ラベルの表示実態を調べ、同法上の考え方を整理したものです。調査の方法は3つに分かれています。事業者ウェブサイトやECサイトなどインターネット上の一般消費者向け広告表示から環境ラベル139種類を収集してサンプリング調査を行い、環境ラベルを表示する事業者等15者と第三者認証ラベルの運営主体3機関にヒアリング、さらに一般消費者1,000名にアンケートを実施しています。
注目したいのは、収集元がECサイトを含むインターネット広告だという点です。店頭のパッケージだけの話ではなく、商品ページに置いたマークがそのまま調査対象になっているということになります。広告表示まわりの執行状況は景品表示法の運用状況、SNS転載を含む表示リスクはECモール商品ページとステマ規制に整理しました。
基準になるのは優良誤認表示
環境ラベルによって、その商品・サービスが実際のもの又は事実に相違して競争事業者のものよりも著しく環境に配慮していると一般消費者に誤認される場合には、不当表示(優良誤認表示)として景品表示法上問題となる。
ポイントは「実際のもの又は事実に相違して」という部分です。環境に配慮していること自体を訴えるのは問題ありません。問題になるのは、配慮している範囲や度合いが、消費者が受け取る印象より小さいときです。この構図は、原産地表示や機能性の訴求と同じ考え方に立っています。食品分野の表示点検は食品表示の夏季一斉取り締まりで扱いました。
収集された139種類の内訳
収集された環境ラベルを商品・サービスの区分で見ると、生活・文化用品が42種類、食料品・飲料が38種類で、この2区分だけで全体の過半を占めます。以下、情報・通信機器13種類、住宅7種類、サービス2種類、家電1種類と続き、複数区分にまたがるものが36種類でした。雑貨・日用品と食品という、ECで売れ筋の中心にあるカテゴリに集中しているのが実態です。
| 商品・サービスの区分 | 環境ラベルの種類数 |
|---|---|
| 生活・文化用品 | 42種類 |
| 食料品・飲料 | 38種類 |
| 情報・通信機器 | 13種類 |
| 住宅 | 7種類 |
| サービス | 2種類 |
| 家電 | 1種類 |
| 複数区分にまたがるもの | 36種類 |
| 合計 | 139種類 |
サンプリング調査で見つかった「不明確」の実数
対象範囲・割合・削減率がわからない
サンプリング調査の結果は具体的です。139種類のうち、訴求する環境配慮の対象が商品本体か包装等かが明確でないものが20種類。原材料等の環境配慮を訴求している62種類のうち、使用割合が具体的な数値で示されていないものが29種類。石油由来プラスチック等の削減を訴求している25種類のうち、削減率が数値で示されていないものが15種類。そして139種類のうち、説明が併記されていないなど訴求内容が外形上明確でないものが59種類でした。
報告書には具体例も挙げられています。衣服のタグに再生素材の利用を示すラベルがあるが、再生素材が使われているのが衣服なのかタグなのか判別できない。食品の容器包装に「バイオマス素材を使用」とあるが、具体的な使用割合が示されていない。化粧品の外箱に「ECO」の文字と木の葉のイラストがあるだけで、具体的な説明がない——といったものです。
裏付けデータが表示から確認できたものはゼロ
もっとも重い指摘がここです。139種類すべてについて、表示の裏付けとなる実証データ等を表示自体から確認できるものはありませんでした。あわせて、環境ラベルを表示できる基準(適合基準)の公表の有無が確認できなかったものも18種類ありました。ヒアリングでは、商品ごとに使用割合が異なり社内での管理が煩雑なため使用割合を明示していない、と述べる事業者や、適合基準を設定しているが公表していないと述べる事業者がいたことも記録されています。
| 指摘された論点 | 母数 | 不明確だった件数 |
|---|---|---|
| 訴求する対象範囲(本体か包装か) | 139種類 | 20種類 |
| 原材料等の使用割合 | 62種類 | 29種類 |
| 石油由来プラスチック等の削減率 | 25種類 | 15種類 |
| 訴求する環境配慮の内容 | 139種類 | 59種類 |
| 実証データ等の表示からの確認 | 139種類 | 確認できたものは0種類 |
消費者は環境ラベルをどう受け取っているか
「一部だけ」の表示が「全部」と読まれている
一般消費者1,000名へのアンケートが、この報告書のもう一方の柱です。原材料等の環境配慮を訴求するラベルについて、約7割(73.7%)が対象範囲に商品本体が含まれると受け取ったという結果が出ています。包装だけを対象にしたつもりのラベルでも、消費者は商品そのものが環境配慮されていると読むということです。
割合の受け取り方はさらに開いています。使用割合について約7割(73.0%)が50%程度以上だと思うと回答し、削減率については約8割(80.1%)が50%程度以上だと思うと回答しました。「バイオマス素材を使用」とだけ書かれたラベルを見た消費者の多くは、半分以上がバイオマス素材でできていると想像している計算になります。
「エコ」としか伝わっていない
訴求内容の伝わり方も測られています。ある環境ラベルを見せたところ、5割強(55.1%)が「何かしら環境に配慮した『エコ』なものだと思う」と回答しました。森林資源の保護に貢献する(23.5%)、海や川の水質汚染を防ぐ(11.8%)、廃棄物の削減と循環型社会に資する(7.1%)といった具体的な受け取り方をした人は4割ほどにとどまります。ラベルは付いているが、何のラベルなのかは伝わっていないという状態です。
| 消費者に聞いたこと | 回答 | 事業者側とのギャップ |
|---|---|---|
| 対象範囲に商品本体が含まれるか | 73.7%が含まれると回答 | 包装限定のつもりでも本体と読まれる |
| 原材料の使用割合はどれくらいか | 73.0%が50%程度以上と回答 | 数%でも過半と想像される |
| プラスチックの削減率はどれくらいか | 80.1%が50%程度以上と回答 | 削減率の明示がないと過大評価 |
| ラベルは何を訴求していると思うか | 55.1%が「何かしらエコ」と回答 | 具体的な訴求内容が伝わらない |
優良誤認になりうる4つの型
報告書が整理した考え方
報告書は、景品表示法上問題となりうるケースを型として整理しています。対象範囲が明確に表示されておらず、実際には環境への効果を有する範囲が商品・サービスの一部にとどまる場合。使用割合または削減率が明確に表示されておらず、実際には一部にとどまる場合。訴求する環境配慮がもたらす効果の実証データ等による裏付けがない場合。そして第三者認証ラベルではないにもかかわらず、第三者認証ラベルであるかのように表示する場合の4つです。
加えて、「エコ」「グリーン」等の文字や自然をモチーフにしたイラストのみで構成され訴求内容が明確でない場合については、具体的な内容が分かりやすく伝わるように工夫することが求められると示されています。
示された対応の方向
- 対象範囲を明示する——商品本体か包装等かを明確にし、全体または主要な部分だと認識されない表示にする。文字の大きさや配置箇所にも留意が必要とされています。
- 割合・率を明示する——100%または大部分だと認識されない表示にする。確定値の「◯%」だけでなく、「◯%未満」や「□%〜◇%」といった書き方も考えられると示されています。
- 実証データを持っておく——表示の裏付けとなる根拠を保有し、その内容が表示と適切に対応している必要があるとされています。
- 第三者認証を装わない——第三者認証ラベルでない場合、そう受け取られる印象を与える表示をしないこと。
消費者庁は、この考え方を環境省等とも連携しながら広く事業者に周知する予定とし、不当表示等が疑われる事案には迅速に指導を行い是正を図ることを含め、景品表示法に基づき厳正に対処していくとしています。特商法まわりの表示ルールとあわせた点検は特商法の見直し議論とネットショップの法的ドキュメント整備が下敷きになります。
第三者認証ラベルとモールの独自マーク
139種類のうち第三者認証は31種類
収集された139種類のうち、第三者認証ラベルは31種類でした。残る108種類のうち2種類は、一見すると第三者認証ラベルのように見受けられるものだったと報告されています。第三者認証ラベルではないのに「認証」の文言や認定番号が付されていたケースです。
消費者の受け取り方も測られています。「X機関認証(X機関は独立した第三者機関)」と記されたラベルについて、約6割(62.2%)が一番信頼できると回答したのに対し、供給事業者であるA社の名前が入ったものを一番信頼できるとした回答は9.6%でした。第三者性は、消費者の信頼に直接効いているということになります。
モールの独自マークとの関係
EC事業者に関わりが深いのが、プラットフォーム事業者が独自に付けるマークについての記述です。報告書には、第三者認証ラベルを取得した商品はプラットフォーム上で独自のマークを付され上位表示されやすい傾向にあると思われることから、比較的容易に基準をクリアできる第三者認証ラベルのみを取得していると述べる事業者がいたことが記録されています。実際に、一定の環境ラベルが付された商品にプラットフォーム事業者の独自マークが表示されているケースも見られたとされています。
プラットフォーム側の独自マークについても、留意点は環境ラベルと同様であり、環境配慮の度合いに応じた認証基準とするなど、よりきめ細やかな情報提供が可能となるマークとすることが望ましいと示されました。モールの施策に合わせて取得したラベルが、そのまま表示リスクになりうるという構図です。モール側のアップデート動向は楽天市場2026年上期アップデート、モール別の比較検討はRSLとSTOCKCREWの比較が参考になる範囲です。
ECの商品ページと梱包を点検する
梱包の「エコ」は対象範囲を書き分ける
EC事業者が環境訴求をいちばん使いやすいのが梱包です。簡易包装、脱プラ、再生段ボール、紙緩衝材への切り替え。いずれも実際に効果のある取り組みですが、その効果が及ぶ範囲は外装や緩衝材であって、商品本体ではないケースがほとんどでしょう。今回の調査で消費者の73.7%が「商品本体も対象」と受け取ったという結果を踏まえると、「配送用の外装箱に再生材を◯%使用」のように、対象と割合をセットで書くのが安全側の書き方になります。
資材の選び方そのものはEC梱包のサステナブル対応ガイド、種類とコストは梱包資材の選定と費用最適化とEC梱包材の選び方と種類にまとめました。ブランド梱包で環境訴求を載せる場合はオリジナル梱包箱の作り方の設計段階から文言を詰めておくと手戻りが減ります。
配送段階の環境配慮は「流通時」として整理されている
報告書は環境ラベルが訴求するライフサイクルの段階も分類しており、調達時69件・製造時52件に対して流通時は6件と少数です。流通時の具体例としては積載効率化による省エネルギー・脱炭素化とモーダルシフトが挙げられています。裏を返せば、配送・物流を切り口にした環境訴求はまだ空いている領域だということでもあります。積載効率とモーダルシフトは荷主側の努力義務としても位置づけられており、制度の枠組みは国土交通省「物流効率化法について(荷主・物流事業者の皆様へ)」で示されています。
この約1割にのぼる再配達を労働力に換算すると、年間約6万人のドライバーの労働力に相当します。また、再配達のトラックから排出されるCO2の量は、年間でおよそ25.4万トン(令和2年度国交省試算)と推計されており、宅配便の再配達は地球環境に対しても負荷を与えています。
再配達を減らす取り組みは、数字で語れる数少ない環境施策です。受取方法の多様化の実績は再配達率7.6%・受取多様化31%へ、置き配の扱いは置き配の標準サービス化、ロッカー受取は宅配ロッカー・コンビニ受取の拡大で扱いました。荷主側の脱炭素義務化の流れはEC物流の脱炭素・グリーン義務化にまとめてあります。
点検の進め方
| 点検箇所 | 見るポイント | 直し方の例 |
|---|---|---|
| 商品ページのアイコン | 「エコ」「ECO」だけになっていないか | 何が環境配慮なのかを1行添える |
| 素材の訴求 | 割合が書かれているか | 「◯%」または「◯%未満」を併記 |
| 脱プラの訴求 | 削減率が書かれているか | 比較対象と削減率をセットで書く |
| 梱包への刷り込み | 対象が本体と読まれないか | 「配送用外装箱」と対象を限定 |
| 自社マーク | 「認証」「認定番号」を使っていないか | 自社基準である旨を明示する |
| 根拠資料 | 資材メーカーの証明を保有しているか | 仕入時に取り寄せて保管する |
物流を外部に委託している場合、梱包資材の仕様は委託先と共有されます。資材の環境仕様と、その根拠資料をどちらが保有するかを契約時に確認しておくと、後から証明を求められたときに困りません。委託の実務範囲は発送代行の梱包サービスと流通加工、選定の軸は3PLの費用体系と業者選定に整理しました。
まとめ:訴求をやめる話ではなく、書き方の話
今回の報告書は、環境訴求をやめろという内容ではありません。環境ラベル139種類のうち、対象範囲が不明確なもの20種類、使用割合が不明確なもの29種類、削減率が不明確なもの15種類、訴求内容が不明確なもの59種類、そして実証データを表示から確認できたものはゼロ——という現状に対し、書き方を整えれば解決できる論点が並んでいます。消費者の7〜8割が「半分以上」「本体も対象」と受け取っているという調査結果は、書き手が思っているより表示が強く伝わっていることを示しています。
EC事業者にとっての実務は、商品ページと梱包の2箇所で「対象・割合・根拠」を言える状態にしておくことに尽きます。梱包まわりの設計から見直すなら発送代行の仕組みと費用、STOCKCREWの対応範囲はSTOCKCREWのサービス解説、物流全体の基礎知識は物流の基礎知識にまとめてあります。資材仕様を含めた見積もりはお問い合わせから、サービスの詳しい内容はサービス資料でお渡ししています。
よくある質問(FAQ)
Q. 環境ラベルに関する実態調査報告書とは何ですか?
A. 消費者庁が2026年8月20日に公表した報告書です。景品表示法の観点から環境ラベルの表示実態を調べ、同法上の考え方を整理しています。ECサイト等の広告表示に使われている環境ラベル139種類のサンプリング調査、事業者等15者と第三者認証機関3機関へのヒアリング、一般消費者1,000名へのアンケートで構成されています。
Q. どのような表示が景品表示法上の問題になりますか?
A. 実際より著しく環境に配慮していると誤認される場合です。報告書は、対象範囲が不明確で実際は一部にとどまる場合、使用割合や削減率が不明確で実際は一部にとどまる場合、実証データによる裏付けがない場合、第三者認証ラベルでないのにそう見せる場合の4つを挙げています。
Q. 「エコ」のマークを商品ページに置くだけでも問題になりますか?
A. マークを置くこと自体が禁止されるわけではありません。ただし調査では、文字やイラストのみで訴求内容が外形上明確でないものが139種類中59種類あり、消費者の55.1%は「何かしらエコ」としか受け取っていませんでした。具体的な内容が伝わるよう工夫することが求められています。
Q. 梱包の「プラ削減」表示はどう書けばよいですか?
A. 対象と率をセットで示すのが安全側です。調査では削減率の記載がない例が25種類中15種類あり、消費者の80.1%は50%程度以上削減されていると受け取っていました。確定値が難しい場合は「◯%未満」や「□%〜◇%」といった書き方も考えられると報告書に示されています。
Q. 第三者認証ラベルと自社マークの違いは何ですか?
A. 適合基準を独立した第三者機関が判定するかどうかです。調査対象139種類のうち第三者認証ラベルは31種類で、消費者の62.2%は第三者機関の認証を最も信頼できると回答しました。自社基準のマークに「認証」の文言や認定番号を付けると、第三者認証と誤認される表示になりうるため注意が必要です。
Q. 配送や物流を切り口にした環境訴求はできますか?
A. 可能です。報告書ではライフサイクル別の分類で流通時の訴求が6件と少なく、積載効率化やモーダルシフトが例示されています。再配達削減のように国が数値を公表している領域は根拠を示しやすく、訴求と裏付けを両立させやすい切り口といえます。
この記事の監修者
北川七重
株式会社KEYCREW 管理部門の責任者。IT業界でシステムエンジニアとして約10年間、客先常駐・受託開発に従事した後、KEYCREWに入社。経理・労務・採用を統括し、業務の標準化や体制整備を通じて管理部門の強化を推進している。販管費の約7%削減を実現するなど、単純作業の外部化と社内リソースの最適化により「戦略的に動く管理部」の構築を目指す。日商簿記2級および応用情報技術者の資格を保有し、経理の専門知識とITスキルを兼ね備えた視点でEC事業者の会計・税務・制度対応に関する情報を発信。「凡事徹底/積小為大」を信条に、正確さと信頼感を重視した記事を執筆している。