メルカリ越境GMVが1,122億円・取引の56.9%はポップカルチャー|ホビー商材の越境出荷実務【2026年8月】
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海外にも売りたいが何が売れるのか分からない、というのが越境ECで最初につまずく点です。その答えの一部が数字で出ました。メルカリが2026年8月7日に公表した越境トレンドレポートによると、2026年6月期の越境事業の流通総額(GMV)は1,122億円で、過去4年で約19倍に伸び、「メルカリ」全体のGMVの約9%を占めています。さらに越境取引件数の過半数(56.9%)がポップカルチャー関連でした。この記事では、どの国で何が求められているのかを一次情報から押さえ、小型・高単価・多SKUというホビー商材を越境で出荷するときの梱包・送料・在庫の実務を整理します。出荷を外部に委ねる前提で考える場合は発送代行の対応範囲もあわせて確認しておくと判断が早くなります。
越境GMV1,122億円という規模
7年で「無視できない規模」に育った
メルカリが越境取引事業を始めたのは2019年11月で、越境EC事業者との連携により100以上の国・地域への販売をスタートしました。事業開始から7年目を迎えた2026年6月期の越境GMVは1,122億円、過去4年で約19倍という伸びです。全体GMVの約9%を占める水準になりました。1割弱という比率は、まだ主力ではないものの売り手側が海外需要を無視できない規模であることを示します。二次流通の市場動向はメルカリの最新動向にも整理しています。この1,122億円という数字は、日本から海外へ売る市場全体の中では一部にすぎません。経済産業省の市場調査によれば、中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額だけで2兆6,372億円(2024年)に達しました。海外需要の受け皿は複数あり、メルカリはその一つという位置づけで見るのが実態に近いです。
2024年において、日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加しました。なお、中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆6,372億円(前年比8.5%増)、米国事業者からの越境EC購入額は3兆1,397億円(前年比6.0%増)であり、昨年に引き続き増加しています。
事業開始から7年目を迎えた2026年6月期の越境事業の流通総額(GMV)は1,122億円となり、過去4年で約19倍と大幅に伸長。「メルカリ」全体のGMVの約9%を占めるまでに拡大し、海外のお客さまの潜在的な購買ニーズを掘り起こしています。
売れているのは半分以上がポップカルチャー
この越境取引の中身は、想像以上に偏っています。アニメ・コミック・ゲーム・エンターテイメントといったポップカルチャー関連が、越境取引件数の過半数(56.9%)を占めました(対象期間は2025年6月1日〜2026年5月31日)。世界的な注目の高さに加え、日本の「モノを大切にする文化」によって状態の良いリユース品が豊富に揃うことが、需要と相性が良い理由として挙げられています。越境で伸びているのは日用品や消耗品ではなく、収集性のある商材だという構図です。
プラットフォーム側の展開も続いている
供給側の動きも並行しています。Web版「メルカリ」は2024年8月に台湾、2025年5月に香港で提供を開始し、2025年9月に世界共通アプリ「メルカリ グローバルアプリ」を発表、2026年6月には米国でも提供が始まりました。同アプリは2028年までに50以上、中長期的には100以上の国と地域に拡大させる計画とされています。販路の設計はグローバルアプリと発送代行の組み合わせの観点で押さえておくと動きやすくなります。
どの国で何が売れているのか
国・地域ごとに1位が違う
レポートでは国・地域別の1位コンテンツが示されており、その顔ぶれは一様ではありません。アメリカ・香港・フランスでは「ポケットモンスター」、台湾では「ベイブレード」、中国では「鬼滅の刃」、韓国では「サンリオ」が1位でした。「海外で人気の日本コンテンツ」とひとまとめにできず、仕向地ごとに需要が分かれていることを示します。出品を国別に出し分けるのは現実的でない場合も多いですが、少なくとも在庫を厚くする商材の判断には国別の偏りを踏まえる価値があります。
カテゴリーによって上位の顔ぶれが変わる
カテゴリー別の取引件数ランキングも構造が異なります。「ゲーム・おもちゃ・グッズ」カテゴリーでは「鬼滅の刃」が首位で、上位10位のうち「週刊少年ジャンプ」関連作品が5作品を占めました。取引されている実物は缶バッジ、フィギュア、アクリルスタンド、ぬいぐるみなどが中心です。一方「トレーディングカード」カテゴリーでは「ポケットモンスター」が2位に5倍近い差をつけて首位で、上位10位にK-POPアーティストが5組入りました。対戦・コレクション目的のカードゲームと、推し活のフォトカードという性質の異なる2つの需要が同じカテゴリーに同居しています。同じ「カード」でも扱い方と価値の根拠が違う点は、梱包基準を決めるときに効いてきます。
| カテゴリー | 件数1位 | 特徴 | 実際に動く物の例 |
|---|---|---|---|
| ゲーム・おもちゃ・グッズ | 鬼滅の刃 | 上位10位に週刊少年ジャンプ関連が5作品 | 缶バッジ・フィギュア・アクリルスタンド・ぬいぐるみ |
| トレーディングカード | ポケットモンスター | 2位に5倍近い差。上位にK-POP5組 | カードゲーム用カード・タレントのフォトカード |
局地的な急騰が起きる
もうひとつ実務上見逃せないのが、特定地域で需要が急に立ち上がる現象です。2025年下半期対比で2026年上半期の伸び率を見ると、「ベイブレード」が+342.5%(前年同期の約4.4倍)で首位、2位「僕のヒーローアカデミア」が+102.6%、3位「呪術廻戦」が+89.7%でした。台湾ではSNS投稿がミーム化して拡散したことをきっかけに25〜35歳を巻き込んだブームに発展し、現地で正規品の品薄が続いたため、直近5か月間で台湾からの越境取引件数が約44倍に急増したと説明されています。北米では日本のレトロゲームの希少品が指名買いされ、「NEOGEO」のソフトは取引の46.3%が越境取引、SNKの格闘ゲームは海外比率52.3%に達しています。予測ではなく、起きたときに供給できるかが勝負を分ける類の需要です。
海外の買い手が日本から買う3つの理由
希少性・品質・価格の3点
レポートは購買動機を3点に整理しています。第一に希少性・限定品へのアクセスで、日本限定品や先行発売品が入手できることが最大の動機とされます。第二に品質・正規品への信頼で、トレーディングカードの印刷やホログラムの美しさ、生産エラーの少なさが世界的に評価されています。第三に価格優位性で、円安傾向と国内の定価設定により、国際送料を含めても現地の二次流通市場や小売店より安く手に入るケースが多いと説明されています。
買い手は「トータル価格」で判断している
出荷側にとって重要なのは3つめの含意です。香港の購入者から「送料単体ではなく、常にトータル価格で判断している」という声が挙がっているとされ、商品代金と国際送料の合計で比較されていることになります。つまり送料を安く見せる工夫より、合計金額で現地相場を下回るかどうかが判断軸です。逆に言えば、送料が高くても商品が希少なら成立し、ありふれた商品なら送料で負けます。総額確定(DDP型)配送が広がっているのは、この「合計で判断する」買い手の行動に合わせた動きです。
関税・税の扱いが合計金額を左右する
合計金額で比べられるということは、着地側でかかる関税や税が競争力に直結することも意味します。少額輸入の免税枠は各国で縮小が進んでおり、少額免税の撤廃は買い手の実質負担を押し上げます。着地の税額まで含めて見積もらないと、後から追加請求が発生して受け取り拒否につながります。関税計算の基本と、通関手続きの流れは先に押さえておくべき前提です。
近年の円安傾向や日本国内の定価設定により、国際送料を含めても各国の二次流通市場や小売店で購入するより安く手に入るケースが多く存在します。
ホビー商材を越境で出す4つの難所
小型ゆえに送料の比重が重くなる
缶バッジやアクリルスタンド、カードは軽量ですが、国際配送では書類パックや最小サイズでも一定の料金がかかります。1点だけ送ると送料が商品代金を上回ることも珍しくありません。したがって設計の要点は、1配送にどれだけ載せられるかです。同一購入者への同梱をまとめる、追加ピッキングの単価を踏まえてまとめ出荷の採算ラインを決める、といった運用で1配送あたりの経済性が変わります。粗利密度の考え方は、越境ではさらに効き方が強くなります。
状態が価値そのものなので破損が致命傷
ホビー商材で価格を支えているのは状態の良さです。カードの角が潰れる、フィギュアの箱が凹む、缶バッジに擦れが出る。いずれもその1点の価値を大きく下げる不具合で、返品や評価低下に直結します。国際配送は国内より輸送環節が多く扱いも荒くなりがちなので、国内と同じ梱包基準では足りません。緩衝を厚くした梱包を標準化し、出荷前の状態撮影をルールにしておくと、破損が発生したときの責任範囲も切り分けやすくなります。梱包資材の設計はコストと保護の両面で見直す価値があります。
多品種少量でSKUが膨らむ
1点物や型番違いが大量に発生するのがこの領域の特徴です。同じキャラクターでもバージョン違いが何十種類とあり、SKUの数が出荷件数に対して極端に多くなります。この状態で在庫を目視管理すると、取り違えが必ず起きます。誤出荷を抑えるにはロケーション管理とバーコード検品が前提で、1点から預けられる委託先かどうかも現実的な選定条件になります。
高額品と規制品が混在する
希少品には高額なものが混ざります。レポートでは香港で「週刊少年ジャンプ 1984年51号」が約199万円で購入された事例が挙げられ、その1件だけでその日の香港における越境流通額の13%を占めたとされています。この規模の商品を送る場合、配送時の補償上限と通関時の申告額の扱いを事前に確認しておかないと、事故時に回収できません。あわせて、電池内蔵の商品や玩具は仕向地の輸入規定に従う必要があります(台湾からのベイブレード購入について、台湾税関の定める輸入規定に準じるとレポートにも注記されています)。リチウムイオン電池を含む商品は航空搭載制限があるため、出荷可否を先に確認する必要があります。
越境出荷を仕組みにする手順
配送手段は商材の単価帯で分ける
越境の配送手段は、書類パック相当の小型便から宅配便サイズまで料金の刻みが大きく、単価帯ごとに使う便を決めておくのが実務的です。低単価の小物は同梱でまとめて1便に寄せ、高額な希少品は追跡と補償を優先する。クーリエの仕組みと使い分けを押さえておくと、注文が入ってから迷わずに済みます。国際輸送コストは為替や燃油で動くため、輸送コストの上昇局面では採算ラインの見直しも必要になります。
急騰したときに供給できる体制を持つ
台湾のベイブレードのように、需要は予測ではなく突発で立ち上がります。約44倍という増加に自社の出荷体制で追随するのは容易ではありません。ここで効くのは、需要が跳ねたときに出荷能力を借りられる状態にしてあるかどうかです。繁忙期の波動対策と同じ考え方で、平常時は出荷量に応じた費用に留め、跳ねたときだけ倉庫側の体制でピークを吸収する設計にしておくと機会を逃しません。
国内向けと同じ倉庫で在庫を一元化する
越境を別ラインで運用すると、同じ商品の在庫が国内向けと海外向けで分断され、どちらかで欠品します。在庫は一元化し、出荷指示の側で仕向地を切り替えるのが基本形です。発送代行で国内出荷と海外出荷を同じ在庫から出せれば、在庫の持ち方は変えずに販路だけを増やせます。委託の損益分岐は出荷件数別のシミュレーションで試算でき、STOCKCREWの対応範囲はSTOCKCREW完全ガイドにまとめています。二次流通の販路としてメルカリを使う場合の実務はメルカリShopsの仕組みもあわせて確認しておくと全体像がつかめます。
まとめ:売れる商材が分かれば出荷設計は決まる
メルカリの2026年6月期の越境GMVは1,122億円で過去4年で約19倍、全体GMVの約9%を占めるまでに拡大しました。中身は偏っており、越境取引件数の56.9%がポップカルチャー関連です。国・地域別の1位はアメリカ・香港・フランスが「ポケットモンスター」、台湾が「ベイブレード」、中国が「鬼滅の刃」、韓国が「サンリオ」と分かれ、伸び率では「ベイブレード」が+342.5%と局地的な急騰も起きています。買い手は希少性・品質への信頼・価格優位性の3点で日本から買い、判断はトータル価格で行われます。ここから導かれる出荷設計は明確です。①小型・低単価は同梱で1配送あたりを厚くする。②状態が価値なので国内より厚い梱包を標準化する。③多SKUはロケーション管理とバーコード検品で誤出荷を抑える。④高額品は補償上限と申告額を事前に確認する。そして突発的な需要増に備え、在庫は国内向けと一元化したうえで出荷能力を借りられる形にしておくこと。越境ECの基礎は越境ECの始め方、EC物流全体の設計はEC物流完全ガイドに整理しています。商品ごとの輸出入手続きはJETROの貿易・投資相談Q&A、関税率は税関の実行関税率表で確認できます。越境を含む出荷体制のご相談はお問い合わせや資料ダウンロードから承っています。
よくある質問(FAQ)
Q. メルカリの越境取引はどれくらいの規模ですか?
2026年6月期の越境事業の流通総額(GMV)は1,122億円で、過去4年で約19倍に伸びました。「メルカリ」全体のGMVの約9%を占める水準です。越境取引事業は2019年11月に100以上の国・地域への販売として始まり、2026年6月期で7年目を迎えています。
Q. 越境で売れている商材は何ですか?
アニメ・コミック・ゲーム・エンターテイメントといったポップカルチャー関連が越境取引件数の56.9%を占めています(2025年6月〜2026年5月)。「ゲーム・おもちゃ・グッズ」カテゴリーの件数1位は鬼滅の刃、「トレーディングカード」カテゴリーの1位はポケットモンスターで、缶バッジ・フィギュア・アクリルスタンド・カードなどが実際に動いています。
Q. 国や地域によって売れるものは違いますか?
違います。国・地域別の1位はアメリカ・香港・フランスがポケットモンスター、台湾がベイブレード、中国が鬼滅の刃、韓国がサンリオでした。台湾ではSNSでの盛り上がりを起点に直近5か月間で越境取引件数が約44倍に急増した例もあり、地域ごとの需要の立ち上がり方に差があります。
Q. 海外の買い手はなぜ日本から買うのですか?
希少性・限定品へのアクセス、品質と正規品への信頼、価格優位性の3点が主な動機とされています。とくに価格については、円安傾向と国内の定価設定により国際送料を含めても現地より安く買えるケースが多く、買い手は送料単体ではなくトータル価格で判断していると説明されています。
Q. ホビー商材を越境で出荷するときの注意点は何ですか?
小型・軽量なため1点出荷では送料の比重が重くなるので同梱でまとめること、状態の良さが価値そのものなので国内より厚い梱包を標準化すること、多品種少量でSKUが膨らむためロケーション管理とバーコード検品で誤出荷を抑えること、高額な希少品は補償上限と通関時の申告額を事前確認することの4点です。電池内蔵品や玩具は仕向地の輸入規定にも従う必要があります。
この記事の監修者
保阪涼子
株式会社KEYCREW 営業部長。物流会社で10年間、EC物流の現場担当・営業事務を経験し、EC・物流業界で通算10年以上のキャリアを持つ。STOCKCREWではサービス開始初期から商談を担当し、500社以上のEC事業者への導入支援を一貫して手がけてきた。YFF(Yahoo!フルフィルメント)移管時には1,000社超の顧客接点・フロー設計を主導。月間10万件以上の出荷管理に携わり、顧客の物流費を平均15%削減する成果を上げている。成約率50%を達成した営業手法には、「『売る』より『解く』」という顧客課題解決型のアプローチが根底にある。物流メディア(Logistics Today、ECのミカタ)へのインタビュー掲載実績も持つ。