モバイルバッテリー購入の重視点は価格51.2%、安全性36.3%|消費者庁調査でEC商品ページを点検する
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モバイルバッテリーや充電式のガジェットを扱っていると、「安全性をきちんと書いているのに読まれていない気がする」という感覚を持つことがあります。その感覚を裏づける数字が出ました。消費者庁が2026年9月17日に公表した令和8年度第1回消費生活意識調査では、モバイルバッテリーの購入時に重視する点として「価格」が51.2%で最も高く、「安全性」は36.3%、「リコール情報」に至っては3.6%でした。一方で危険性そのものは8割以上が認知しています。知られてはいるが、選ぶ場面では効いていない——この構図をどう埋めるかが、商品ページと出荷実務の両方の課題になります。物流側の受け皿づくりは発送代行おすすめ25選が土台になります。
調査の概要|全国5,000人に聞いたリチウムイオン電池使用製品
まず調査の素性を押さえます。消費者庁の「消費生活意識調査」は、その時々のテーマで随時実施されるインターネット調査です。令和8年度の第1回はリチウムイオン電池がテーマでした。
令和8年8月は、「リチウムイオン電池使用製品に関すること」をテーマに調査を行いました。
調査方法と対象者
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公表日 | 2026年9月17日 |
| 調査期間 | 令和8年7月30日〜8月3日 |
| 対象 | 全国の15歳以上の男女5,000人(性別・年代・地域を人口構成比に応じて割付) |
| 方法 | インターネットによるアンケート調査 |
| テーマ | リチウムイオン電池使用製品に関すること |
モバイルバッテリーの保有率は44.5%
保有状況は、「持っている」が44.5%、「持っていたことがある」が10.5%、「今まで持っていたことがない」が45.1%でした。つまり回答者の半数以上が、現在または過去にモバイルバッテリーを手にしています。
年代差も出ています。「持っている」と「持っていたことがある」の合計は10代が72.3%で最も高く、70代以上が43.0%で最も低いという並びでした。若い層ほど所有経験があるという、想像どおりの傾向がデータで裏づけられた形です。スマホまわりの小物を扱っているショップは、スマホアクセサリー・小型ガジェットECの発送代行実務ガイドとあわせて読むと出荷側の条件が見えてきます。
購入時に見られているのは価格。安全性は2番手
ここが今回の調査でいちばん実務に効く部分です。モバイルバッテリーを保有している(していた)2,746人に、購入時に重視した点を複数回答で聞いています。
「価格(51.2%)」が最も高く、全体の半数を超えた。次いで「安全性(36.3%)」、「性能(34.8%)」であった。
重視点のランキング
価格が半数を超えるのは想定内としても、注目したいのは下位の3項目です。「口コミやレビュー、レビューにおける評価点数」は12.8%、「製造年」は4.8%、「リコール情報」は3.6%にとどまりました。安全性そのものは3人に1人が見ているのに、安全性を具体的に裏づける情報はほとんど参照されていません。
「安全性」と「リコール情報」の落差が意味すること
この落差の読み方は2つあります。ひとつは、消費者が安全性をブランドや価格帯で代理判断しているという見方です。メーカーを29.6%が重視しているのは、その代理指標として機能している可能性があります。
もうひとつは、リコール情報や製造年がそもそも商品ページで見つけられないという見方です。探しても載っていないものは、重視しようがありません。自社の商品ページに製造年やロット、リコール時の告知先が書かれているかは、この数字を見た直後に見直す価値があります。表示の適正さについては消費者庁が景品表示法の運用状況を公表も参考になります。
モバイルバッテリー以外では安全性が9.0%まで落ちる
さらに差が開くのが、モバイルバッテリー以外のリチウムイオン電池使用製品です。スマートフォンやノートPC、コードレス掃除機などを含めた製品全体で見ると、「価格」が54.5%、「性能」が43.3%と上位を占め、「安全性」は9.0%で全体の5番目まで下がりました。
モバイルバッテリーは「バッテリーそのものを買う」意識が働くのに対し、掃除機やスマホは「機能を買う」意識が前面に出ます。電池が内蔵されていることが意識の外に出るぶん、事業者側の説明責任は重くなります。出荷規模に応じた物流設計の考え方は別記事に譲りますが、この商材群については家電・電子機器ECの物流設計パターンに整理があります。
危険性は8割が知っている。それでも価格で選ばれる
「知らないから軽視されている」という説明は、今回の結果からは成り立ちません。
認知率は全体の8割超
モバイルバッテリーの危険性(取扱いを誤ると火災事故の原因になる場合がある)について、回答者全体の8割以上が認知していました。年代別では70代以上が90.8%で最も高く、20代が72.0%で最も低いという結果です。
ここに保有率のデータを重ねると、ねじれが見えます。保有率が最も高いのは10代・20代で、危険性の認知が最も低いのも20代です。もっとも多く使っている層が、もっともリスクを知らないという組み合わせになっています。
製品ごとに認知はばらつく
モバイルバッテリー以外のリチウムイオン電池使用製品についても、危険性の認知を聞いています。スマートフォンが81.7%で最も高く、コードレス掃除機・ロボット掃除機が52.8%で最も低いという並びでした。掃除機に電池が入っていることを半数近くが結びつけていないことになります。
認知が低い製品カテゴリを扱っているなら、購入時ではなく受け取り後に伝える設計が現実的です。同梱物で注意喚起を届ける方法はEC事業者が今すぐ使える同梱戦略実務ガイドに具体例があります。
不要になった電池の行き先|16.5%が「捨て方が分からず保管」
調査は廃棄行動にも触れています。不要になったリチウムイオン電池使用製品をどうするかという設問です。
回収ルートに乗っているのは半数程度
| 不要になったときの対応 | 割合 |
|---|---|
| 自治体のルールに従って出す | 33.0% |
| 家電量販店等の回収ボックスに入れる | 22.6% |
| 捨て方が分からないので保管したままにする | 16.5% |
| 購入店・メーカーの回収を利用する | 12.9% |
自治体ルールと回収ボックスを合わせても55.6%です。そして6人に1人が「捨て方が分からないので保管したままにする」と答えました。行き場のない電池が家庭に滞留している状態が、数字として出ています。
国はこの時期に火災防止を強めている
この滞留は行政側も問題視しています。環境省は2026年10〜12月を火災防止の強化期間とし、11月を月間として位置づけました。時期の詳細は環境省が10〜12月をリチウムイオン電池の火災防止強化期間にで扱っています。一次情報は環境省「リチウムイオン電池による火災防止強化キャンペーン」及び「リチウムイオン電池による火災防止月間」についてです。
EC事業者にとっては、回収案内を商品ページやサンクスメールに置くだけでも差がつく局面です。購入店・メーカーの回収を使う人が12.9%しかいないのは、裏を返せば自社が回収導線を用意すれば伸びしろがあるということでもあります。
EC事業者が商品ページで補う3点
ここまでの数字を、ページ設計に落とします。優先順位は次の3つです。
- 安全性の根拠を価格の近くに置く——価格を51.2%が見て、安全性を36.3%が見ています。両者が別の場所にあると、後者は読まれないまま離脱します。PSEマークの有無や保護回路の記載を、価格・スペック表と同じ視界に入れるのが先決です。
- 製造年とロットを書く——重視する人は4.8%しかいませんが、リコールが起きたときに問い合わせを捌けるかどうかはこの記載で決まります。読者のためというより、自社の事故対応コストを下げるための記載です。
- リコール時の連絡先を固定位置に置く——3.6%しか見ていない情報だからこそ、探させない場所に置く意味があります。商品ページ下部の定型ブロックに入れておけば運用負荷はほぼ増えません。
レビュー頼みにしない
口コミやレビュー評価点数を見ているのは12.8%です。レビューが安全性の説明を肩代わりしてくれるという期待は、この数字からは持ちにくいところがあります。加えて、レビューやSNS投稿の扱いには表示規制が関わります。ECモール商品ページのSNS投稿転載もステマ規制の対象にで論点を整理しています。
ページの外で伝える手段も用意する
購入前に読まれない情報は、購入後に届けるしかありません。納品書への注記、同梱チラシ、発送完了メールの3経路が現実的な選択肢です。ネットショップ全体の運営設計はネットショップ運営完全ガイドにまとめています。
出荷と保管の論点|電池入りは送り方が先に決まる
商品ページの話と並行して、出荷側の制約も押さえておく必要があります。リチウムイオン電池を含む商品は、運送会社の荷受基準によって使える配送方法が限られます。
運送会社の基準を先に読む
各社は危険物・発火性のあるものの取扱いを明示しています。佐川急便は成分によって飛脚宅配便で取り扱えない可能性があるとしており、ヤマト運輸も送れないものを一覧化しています。
お荷物に下記の成分が含まれている場合、飛脚宅配便でのお取り扱いができない可能性があります。
ヤマト運輸側の一覧は宅急便等で送れないものにあります。商品を仕入れる前に荷受可否を確認するのが、在庫を抱えてから困らないための順番です。詳しい条件はリチウムイオン電池を含む商品のEC発送ルールに整理しています。
委託先には仕様書を先に渡す
発送代行を使う場合、電池の種類・ワット時定格量・個数・内蔵か同梱かによって受託可否が変わります。見積もり依頼の段階で商品仕様書を渡すと、後戻りが減ります。工具や楽器のように電池内蔵品が混ざりやすいカテゴリでは、工具・DIY用品ECの発送代行と楽器・音響機材ECの発送代行に該当する論点をまとめてあります。
滞留在庫は先に処理する
家庭で16.5%が保管したままにしているのと同じことが、倉庫でも起こります。型落ちした電池内蔵品を置き続けると、保管料と発火リスクの両方を抱え込みます。在庫の回転設計は先入れ先出し(FIFO)の実践方法、処分の考え方は不良在庫の原因と処分方法にあります。破損や事故が起きたときの補償の線引きは配送事故の補償を運送会社別に比較したページで扱っています。
まとめ:安全性は「書く」より「読ませる位置に置く」
今回の調査が示したのは、危険性の認知(8割超)と、購入時の安全性重視(36.3%)と、リコール情報の参照(3.6%)の三段の落差でした。知識はあるのに、購入という場面ではほとんど使われていません。書いていないのではなく、読まれる位置にないことが多いという仮説が立ちます。
やることは3つに絞れます。第一に安全性の根拠を価格の近くへ移すこと、第二に製造年・ロット・回収導線を定型ブロックとして固定すること、第三に電池入り商品の荷受可否を仕入れ前に確認することです。前の2つは今日から着手でき、3つ目は委託先との相談が前提です。
出荷体制ごと見直す段階であれば発送代行おすすめ25選とSTOCKCREW完全ガイドが判断材料になります。倉庫運用の全体像はEC物流完全ガイド、物流の用語や仕組みからたどるなら物流完全ガイド2026年版が入口です。自社の商材で受託できるかどうかは個別条件で変わるため、お問い合わせから商品仕様を添えてご相談いただくか、資料ダウンロードで判断材料を先に集めてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 今回の消費生活意識調査はどのような調査ですか?
A. 消費者庁が消費者の意識や行動をその時々のテーマで調べるインターネット調査です。令和8年度第1回は「リチウムイオン電池使用製品に関すること」がテーマで、令和8年7月30日から8月3日にかけて全国の15歳以上の男女5,000人を対象に実施され、2026年9月17日に結果が公表されました。
Q. モバイルバッテリー購入時に重視されている点は何ですか?
A. 複数回答で「価格」が51.2%と最も高く、全体の半数を超えました。次いで「安全性」36.3%、「性能」34.8%、「メーカー」29.6%と続きます。一方で「口コミやレビュー、レビューにおける評価点数」は12.8%、「製造年」は4.8%、「リコール情報」は3.6%にとどまりました。
Q. 危険性はどのくらい知られていますか?
A. モバイルバッテリーの危険性については回答者全体の8割以上が認知していました。年代別では70代以上が90.8%で最も高く、20代が72.0%で最も低い結果です。製品別ではスマートフォンが81.7%で最も高く、コードレス掃除機・ロボット掃除機が52.8%で最も低くなっています。
Q. 不要になったモバイルバッテリーはどう処分されていますか?
A. 「自治体のルールに従って出す」が33.0%、「家電量販店等の回収ボックスに入れる」が22.6%、「購入店・メーカーの回収を利用する」が12.9%でした。一方で「捨て方が分からないので保管したままにする」が16.5%を占めており、行き場のない製品が家庭に滞留している状況がうかがえます。
Q. EC事業者は商品ページで何を直せばよいですか?
A. 優先順位は3つです。安全性の根拠を価格・スペック表と同じ視界に入れること、製造年とロットを記載してリコール時の問い合わせに備えること、リコール時の連絡先を商品ページ下部の定型ブロックとして固定することです。前の2つは自社だけで着手できます。
Q. リチウムイオン電池を含む商品は発送代行に委託できますか?
A. 委託先や商品の条件によって異なります。運送会社は発火性のあるものの取扱いを制限しており、佐川急便は成分によって飛脚宅配便で取り扱えない可能性があるとしています。電池の種類、ワット時定格量、個数、内蔵か同梱かで判断が変わるため、見積もり依頼の段階で商品仕様書を渡して受託可否を確かめてください。
この記事の監修者
保阪涼子
株式会社KEYCREW 営業部長。物流会社で10年間、EC物流の現場担当・営業事務を経験し、EC・物流業界で通算10年以上のキャリアを持つ。STOCKCREWではサービス開始初期から商談を担当し、500社以上のEC事業者への導入支援を一貫して手がけてきた。YFF(Yahoo!フルフィルメント)移管時には1,000社超の顧客接点・フロー設計を主導。月間10万件以上の出荷管理に携わり、顧客の物流費を平均15%削減する成果を上げている。成約率50%を達成した営業手法には、「『売る』より『解く』」という顧客課題解決型のアプローチが根底にある。物流メディア(Logistics Today、ECのミカタ)へのインタビュー掲載実績も持つ。