トラック・物流Gメンが10〜11月に荷主を集中監視|公取委・警察と連携、EC事業者が点検すべき出荷の現場
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集荷のトラックを倉庫の前で長く待たせていないか。契約書にない積み込みや仕分けを、ドライバーに頼んでいないか。こうした荷主側の行為に、国の監視が集中する2か月が始まります。国土交通省は2026年9月28日、本年10月・11月を荷主及び元請事業者に対する「集中監視月間」にすると発表しました。「トラック・物流Gメン」が、公正取引委員会・中小企業庁と地方レベルで連携し、違法な「白トラ」への委託については警察とも組んで監視を強めます。商品を出荷するEC事業者は、運送を委託する立場として監視の対象になり得ます。本記事では発表の中身を整理し、出荷の現場で点検すべき項目をまとめます。物流委託の全体像は発送代行おすすめ25選が土台になります。
集中監視月間の概要|期間・対象・連携する機関
まず、発表の骨格を表で押さえます。国土交通省物流・自動車局 貨物流通事業課が令和8年9月28日付で公表した内容です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年9月28日 |
| 期間 | 2026年10月・11月の2か月間 |
| 対象 | 荷主及び元請事業者(荷主等) |
| 情報源 | 全トラック事業者及び倉庫業者に対する実態調査、関係省庁からの情報等 |
| 担い手 | トラック・物流Gメン |
| 連携先 | 公正取引委員会・中小企業庁(地方レベル)、各都道府県警察 |
| 関連行事 | 10月上旬に物流分野取引適正化地方ブロック連絡会議と合同荷主パトロールの出発式、10月16日に説明会 |
本年10月・11月を荷主及び元請事業者(以下「荷主等」という。)に対する「集中監視月間」と位置付け、全トラック事業者及び倉庫業者に対する実態調査、関係省庁からの情報等を活用し、「トラック・物流Gメン」により適正な取引を阻害するおそれのある行為を行う荷主等に対する監視を強化し、是正指導を実施します。
出典:国土交通省「荷主等に対する集中監視月間を設け、『トラック・物流Gメン』が重点的に監視を強化します」(令和8年9月28日)
情報は運送会社と倉庫会社から集まる
注目したいのは情報の集め方です。国交省は全トラック事業者と倉庫業者への実態調査を活用するとしています。つまり、荷主が自覚していなくても、取引先の運送会社や倉庫会社の回答から名前が挙がる可能性があります。自社の現場で何が起きているかを、委託先の目線で確かめておくことが出発点になります。
10月16日の説明会は会場参加もできる
集中監視月間に合わせ、国交省は第39回トラック物流問題解決に向けたオンライン説明会を10月16日(金)14時〜15時30分に開きます。今回はオンライン配信に加えて東京・新橋の会場も設けるハイブリッド形式で、会場の定員は約60名、事前申込制です。国交省と公正取引委員会の幹部による講演と特別対談が予定されています。
監視される行為|違反原因行為6類型と取適法の禁止行為
監視の物差しは2本あります。トラック法(貨物自動車運送事業法)に基づく違反原因行為と、取適法(中小受託取引適正化法)の禁止行為です。
| 物差し | 対象となる行為 | 国の対応 |
|---|---|---|
| トラック法の違反原因行為 | 長時間の荷待ち/契約にない附帯業務/運賃・料金の不当な据置き/過積載運送の指示・容認/異常気象時の運送依頼/無理な運送依頼 | 働きかけ、要請又は勧告 |
| 取適法の禁止行為 | 支払遅延/代金の減額/買いたたき/報復措置/協議に応じない一方的な価格決定等 | 助言又は指導 |
| 違法な白トラへの委託 | トラック法に基づく違法な「白トラ」への運送委託への関与 | 要請又は勧告 |
トラック法の6類型は「現場の頼み方」の問題
6類型のうち、長時間の荷待ちと契約にない附帯業務は、倉庫の出荷口で日常的に起こり得るものです。集荷時刻を過ぎても出荷準備が終わらずドライバーが待つ、ドライバーに棚入れや仕分けを手伝ってもらう、といった場面が該当し得ます。悪意がなくても、慣習として続いていれば監視の対象になります。制度の背景は改正貨物自動車運送事業法とは?で整理しています。
取適法は「お金の払い方と決め方」の問題
取適法は2026年1月1日に施行され、対象取引に特定運送委託が加わりました。発荷主が運送を委託する取引も対象になり得るということです。
本改正法は、令和8年1月1日から施行されます。
支払期日の遅れや、協議をせずに運賃を据え置くことが問題になります。取適法と物流委託の関係は取適法で物流委託が変わるで詳しく扱いました。
今回の新しさ|公取委の地方ブロック会議と警察の白トラ対策
Gメンによる荷主への働きかけ自体は以前から行われています。今回の集中監視で強調されているのは、ほかの機関との連携の広がりです。
地方運輸局・公取委・経産局が同じ席につく
10月上旬に、地方運輸局、公正取引委員会の地方事務所等、地方経済産業局等による物流分野取引適正化地方ブロック連絡会議が開かれます。取適法違反が疑われる事案の調査手法や執行方針について意見を交わす場です。あわせて、荷主等の営業所や物流拠点を対象とした合同荷主パトロールの出発式も行われます。国交省の発表では、各地域の開催日や場所は地方関係機関がそれぞれ発表するとしています。
これまで、トラック法はGメン、取適法は公取委と、窓口が分かれて見えていました。地方レベルで情報と調査の方針をそろえることで、運送の現場の問題と、代金の払い方の問題がひとつながりで見られるようになります。公取委による荷主への調査の流れは公取委が荷主105社を立入調査、物流特殊指定の改正は公正取引委員会が物流特殊指定を改正で解説しています。
「白トラ」への委託に警察が関わる
もう一つの柱が、違法な白トラへの運送委託の防止です。白トラとは、運送事業の許可を持たない自家用トラック(いわゆる白ナンバー)で、運賃を受け取って荷物を運ぶことを指します。国交省は各都道府県警察と連携し、物流センターや卸売市場などで周知・啓発を行うとしています。荷主側が関与している疑いがあれば、トラック法に基づいて要請や勧告の対象になります。
EC事業者が直接、白ナンバーの車に運送を頼むことは多くないはずです。ただ、繁忙期に急ぎの配送を安く請け負う相手を探したとき、その先が許可のある事業者かどうかを確かめていない、ということは起こり得ます。委託先が運送事業の許可を持っているかを確認する習慣が、自社を守ることにつながります。
EC事業者の出荷現場に置き換えると
6類型と取適法の禁止行為は、抽象的に見えて、EC事業者の日々の出荷に当てはめられます。
出荷口の「待たせ」と「手伝わせ」
自社倉庫から出荷している場合、最も身近なのが荷待ちと附帯業務です。出荷の締め時間と集荷時刻の間に余裕がないと、ドライバーが待つ時間が生まれます。出荷準備が集荷時刻までに終わる段取りになっているかを、繁忙日のデータで確かめてください。出荷量の波に合わせた人員と締め時間の組み方はEC通販の年間出荷波動管理ガイドで整理しています。
運賃の据置きは「協議したか」が問われる
運賃の値上げ申し出を受けても、交渉の場を持たずに据え置けば、据置きや一方的な価格決定として問題になり得ます。同じ時期に、公取委は石油関連製品の値上げをめぐる緊急調査の結果も公表しています。申し出を受けたら協議の記録を残すことが基本です。背景は公取委による石油関連製品の緊急調査とEC事業者が物流費・労務費を転嫁する実務で扱いました。運賃水準の目安は標準的運賃の実態調査で紹介しています。
11月末までに見直す5つのチェック項目
集中監視月間は11月末までです。次の5項目を、この期間中に社内で確認しておくと安心です。
- 運送契約の書面を確認する——改正トラック法で、運送契約の締結時等の書面交付が義務になっています(国土交通省「改正貨物自動車運送事業法について」)。附帯業務や料金がどこまで書かれているかを見直します。
- 集荷時の待ち時間を把握する——出荷口で集荷車が待っている時間を、繁忙日と平常日で記録します。
- ドライバーに頼んでいる作業を洗い出す——積み込み以外の作業を頼んでいれば、契約に書かれているかを確かめます。
- 値上げの申し出への対応履歴を残す——いつ申し出があり、いつ協議し、どう決めたかを記録します。
- 支払期日と差し引きの有無を点検する——手数料などを請求額から差し引いていないか、期日どおりに払っているかを確認します。
繁忙期の前に済ませておく
11月はセールや年末商戦の準備で出荷が増え始める時期です。現場が慌ただしくなると、荷待ちや急な追加便の依頼が起きやすくなります。点検は10月中に一巡させるのが現実的です。年末の出荷体制づくりはEC年末商戦2026の出荷準備ガイドで整理しています。
特定荷主は中長期計画とも重なる
一定規模以上の荷主は、物流効率化法に基づき特定事業者として中長期計画の作成が義務付けられています。荷待ち時間の短縮は計画の論点とも重なります。特定荷主の中長期計画の提出期限は10月末で、制度の全体像は改正物流効率化法の全面施行の解説にまとめています。
発送代行・3PLに委託している場合の考え方
出荷を発送代行や3PLに任せている場合、運送会社と直接やり取りするのは委託先です。それでも、自社に関係がないとは言い切れません。
委託先への頼み方が、運送の現場に響く
たとえば、締め時間直前の大量の出荷指示や、予告のない大口入荷は、委託先の倉庫で作業を押し出し、結果として集荷の遅れにつながります。監視の対象には元請事業者も含まれるため、委託先から運送会社への頼み方も問われます。出荷指示の出し方を委託先と取り決めておくことが、チェーン全体の健全さにつながります。3PLとの契約の組み立て方は3PL契約の実務ガイドにまとめています。
委託先との契約にも目を通す
発送代行との契約でも、料金改定の手続きや支払条件が明記されているかを確認しておきます。項目の洗い出しには発送代行の契約書に含むべき14項目チェックリスト、年度単位の見直しにはEC事業者の2026年度物流契約見直し完全チェックリストが使えます。フリーランスの配送員に委託する場合は、日本郵便へのフリーランス法の勧告の事例から、取引条件を明示する大切さが読み取れます。
まとめ:監視月間は「取引の書き方」を見直す機会
国土交通省は2026年10月・11月を、荷主と元請事業者に対する集中監視月間としました。トラック・物流Gメンが、トラック法の違反原因行為6類型(荷待ち、附帯業務、運賃の据置き、過積載、異常気象時の依頼、無理な依頼)と、取適法の禁止行為を監視します。今回は公正取引委員会・中小企業庁との地方ブロック連絡会議と、警察と組んだ白トラ委託の防止が加わりました。情報源には全トラック事業者と倉庫業者への実態調査が使われます。
EC事業者にとっては、運送契約の書面、集荷時の待ち時間、値上げ申し出への対応記録、支払条件を見直す好機です。物流の委託先を見直す場合は発送代行おすすめ25選とEC物流完全ガイドが比較の起点になります。物流の用語や制度から押さえるなら物流完全ガイド2026年版、STOCKCREWのサービス内容はSTOCKCREW完全ガイドにまとめています。具体的な出荷条件でのご相談はお問い合わせから、情報収集の段階であれば資料ダウンロードをご利用ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 集中監視月間はいつからいつまでですか?
A. 2026年10月・11月の2か月間です。国土交通省が2026年9月28日に発表しました。期間の開始に合わせ、10月上旬には地方ブロック連絡会議と合同荷主パトロールの出発式が各地で行われます。
Q. どのような行為が監視の対象になりますか?
A. トラック法に基づく違反原因行為として、長時間の荷待ち、契約にない附帯業務、運賃・料金の不当な据置き、過積載運送の指示・容認、異常気象時の運送依頼、無理な運送依頼の6類型が挙げられています。あわせて、取適法の禁止行為である支払遅延、代金の減額、買いたたき、報復措置、協議に応じない一方的な価格決定等も対象です。
Q. 監視で問題が見つかるとどうなりますか?
A. トラック法の違反原因行為の疑いがある荷主等には、働きかけ、要請又は勧告が行われます。取適法の禁止行為の疑いがある場合は、助言又は指導の対象です。違法な白トラへの運送委託に関与した疑いがある場合も、要請又は勧告の対象になります。
Q. 白トラとは何ですか?
A. 運送事業の許可を持たない自家用トラック(いわゆる白ナンバー)で、運賃を受け取って荷物を運ぶことを指します。今回の集中監視では、国土交通省が各都道府県警察と連携し、物流センターや卸売市場などで白トラへの委託を防ぐ周知・啓発を行います。
Q. 発送代行に出荷を任せているEC事業者も関係ありますか?
A. 監視の対象には荷主と元請事業者の両方が含まれます。委託先への出荷指示や入荷の頼み方が、運送の現場の荷待ちにつながることもあります。委託先との契約で料金改定の手続きや支払条件がどう定められているかを確認し、出荷指示の出し方を取り決めておくと安心です。
Q. 10月16日の説明会には誰でも参加できますか?
A. 第39回トラック物流問題解決に向けたオンライン説明会は参加無料です。オンライン参加は申込不要で、東京・新橋の会場参加は事前申込制(先着順・定員約60名)です。国土交通省と公正取引委員会の幹部による講演と特別対談が予定されています。
この記事の監修者
北川七重
株式会社KEYCREW 管理部門の責任者。IT業界でシステムエンジニアとして約10年間、客先常駐・受託開発に従事した後、KEYCREWに入社。経理・労務・採用を統括し、業務の標準化や体制整備を通じて管理部門の強化を推進している。販管費の約7%削減を実現するなど、単純作業の外部化と社内リソースの最適化により「戦略的に動く管理部」の構築を目指す。日商簿記2級および応用情報技術者の資格を保有し、経理の専門知識とITスキルを兼ね備えた視点でEC事業者の会計・税務・制度対応に関する情報を発信。「凡事徹底/積小為大」を信条に、正確さと信頼感を重視した記事を執筆している。