ヤマトの8月実績は宅急便96.1%・ネコポス系115.7%|EC出荷が小型薄型へ振れている数字の読み方
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宅配便の個数が減っているのに、薄型の便だけが2桁で伸びています。ヤマト運輸が2026年9月4日に公表した8月の小口貨物取扱実績は、宅急便系が前年比96.1%、ネコポス・クロネコゆうパケットが115.7%という逆方向の動きでした。荷物が減ったのではなく、入る箱が小さくなっているということです。この記事では数字の中身を確認し、梱包サイズを1段下げると送料がどう動くかという実務に落とします。サイズ別の料金構造は発送代行完全ガイドにまとめています。
2026年8月の実績|3区分で動きが割れた
ヤマト運輸は毎月上旬に前月分の小口貨物取扱実績を公表しています。8月分は3つの区分で公表され、方向がきれいに割れました。
実績(対前年比)141,796,942個(96.1%)
| 区分 | 2026年8月の実績 | 対前年比 |
|---|---|---|
| 宅急便・宅急便コンパクト・EAZY | 141,796,942個 | 96.1% |
| ネコポス・クロネコゆうパケット | 39,165,598個 | 115.7% |
| クロネコゆうメール | 5,696,576冊 | 96.3% |
表1:2026年8月の小口貨物取扱実績(ヤマト運輸の公表資料をもとにSTOCKCREW作成)
宅急便系は約4%減
宅急便・宅急便コンパクト・EAZYの合計は1億4,179万個で、前年同月の約96%でした。約4%の減少です。段ボールに入れて送る通常の宅配便が縮んでいるという読み方になります。
ネコポス系は約16%増
対してネコポス・クロネコゆうパケットは3,916万個、前年比115.7%。約16%の増加です。この区分はポスト投函できる薄型の荷物が対象で、厚さの上限が決まっている代わりに単価が低く設定されています。同じEC需要が、より薄い便に流れているということです。
クロネコゆうメールは冊数ベースで減
クロネコゆうメールは569万冊で96.3%。書籍やカタログなど印刷物が主な対象で、こちらは減少しています。3区分のうち伸びているのはネコポス系だけです。
累計で見ると傾向はもっとはっきりする
単月では季節要因が入ります。今期の累計も同時に公表されているので、そちらで確かめます。
| 区分 | 今期の累計 | 対前年比 |
|---|---|---|
| 宅急便・宅急便コンパクト・EAZY | 773,034,675個 | 96.4% |
| ネコポス・クロネコゆうパケット | 209,967,479個 | 117.2% |
| クロネコゆうメール | 35,729,093冊 | 90.2% |
表2:今期累計の小口貨物取扱実績(ヤマト運輸の公表資料をもとにSTOCKCREW作成)
累計でも同じ方向、しかも差は広がっている
累計では宅急便系が96.4%、ネコポス系が117.2%。単月(115.7%)よりさらに高い伸び率です。単月の偶然ではなく、期を通じた傾向と読めます。クロネコゆうメールは累計90.2%で、3区分のなかで最も減っています。
個数の絶対値では宅急便系が圧倒的
誤解しないでおきたいのは規模の差です。累計で宅急便系が7億7,303万個、ネコポス系が2億996万個。宅急便系はネコポス系の3.6倍以上あります。伸び率が高いからといって、主力が入れ替わったわけではありません。主力は宅急便系のまま、増分が薄型に寄っているという状態です。
なぜ小型薄型へ振れるのか
公表資料は理由を説明していません。ここは推測になるので、EC事業者側の事情として考えられる要因を並べます。数字の裏付けがある話ではない、という前提でお読みください。
送料の差が大きいから
もっとも素直な説明はコストです。ポスト投函できる薄型便は、段ボールで送る宅配便より単価が低く設定されています。厚さの制約を満たせるなら、薄型に寄せたほうが1件あたりの送料が下がります。送料無料ラインを設けているショップほど、この差が利益に直結します。
不在の影響を受けにくいから
ポストに入る荷物は受け取り手が家にいなくても完了します。再配達が発生しないため、着荷までのリードタイムが安定します。受け取り方の変化については置き配の標準サービス化でEC物流はどう変わる?で扱っています。
再配達をなくせることの重みは数字で示されている
不在の影響を受けにくいという点は、感覚の話ではありません。国土交通省は再配達が社会全体に与える負荷を試算して公表しています。
この約1割にのぼる再配達を労働力に換算すると、年間約6万人のドライバーの労働力に相当します。また、再配達のトラックから排出されるCO2の量は、年間でおよそ25.4万トン(令和2年度国交省試算)と推計されており、宅配便の再配達は地球環境に対しても負荷を与えています。
再配達1割がドライバー約6万人分の労働力に相当する、という規模感です。ポスト投函できる荷物はここを構造的に回避します。配送会社にとって薄型便を伸ばす動機があり、EC事業者にとっても着荷が安定するという、両者の利害が一致する領域だといえます。
薄型便のサイズ規格を正確に押さえる
薄型に寄せるには、規格を数字で知っておく必要があります。ネコポスは長辺34cm以内・3辺合計60cm以内・厚さ3cm以内・重さ1kg以内が条件です(→ネコポス | ヤマト運輸)。クロネコゆうパケットも3辺合計60cm以内・長辺34cm以内・重さ1kg以内で、厚さは1cm・2cm・3cmの3段階に分かれます(→クロネコゆうパケット | ヤマト運輸)。
実務で効くのは厚さ3cmという一点です。長辺と3辺合計は多くの小型商品でクリアできますが、厚さで落ちるケースが最も多くなります。逆に言えば、厚さを3cm以内に収める工夫だけで区分が変わる商品が社内にあるはずです。参考までに、宅急便側は1辺の長さが170cmまで扱えます(→宅急便のサイズについて | ヤマト運輸)。
小型商材のEC化が進んでいるから
サプリメント、化粧品、スマホアクセサリー、アパレルの薄物などは、そもそも薄型便に収まります。こうした商材の出荷設計は化粧品ECの発送代行実務ガイドと業者選定の基準や健康食品・サプリメントECの発送代行選びにまとめています。
梱包サイズを1段下げるとコストはどう動くか
ここは自社で計算できる話です。STOCKCREWの公開料金を使って、サイズを1段下げたときの差を見てみます。
ネコポスと60サイズの差は270円
STOCKCREWのおまかせ便(ハード)で比べると、ネコポスが260円、60サイズが530円です。1件あたり270円の差になります。月間1,000件のうち200件を60サイズからネコポスに移せれば、月54,000円、年間で約65万円の差です。
| 梱包種別 | ネコポス | コンパクト | 60サイズ | 80サイズ |
|---|---|---|---|---|
| おまかせ便(ハード) | 260円 | 520円 | 530円 | 620円 |
| おまかせ便(ソフト) | — | — | 510円 | 580円 |
| ヤマト便(ハード) | 260円 | 520円 | 580円 | 680円 |
表3:STOCKCREWのEC配送料金(税抜・抜粋)。ネコポス・コンパクトはハードのみ対応
1段の差より「1段目」の差が大きい
表3を縦に見ると、60サイズから80サイズは90円差ですが、ネコポスから60サイズは270円差です。つまりサイズを刻んで下げていくより、ポスト投函に入るかどうかの境目を越えるかが最も効きます。改善の的をここに絞るのが効率的です。
実際の全サイズの料金は次の料金表で確認できます。
保管料の観点でも小さいほうが有利
送料だけでなく、保管にも効きます。体積で課金される方式なら、梱包資材が小さいほど保管料が下がります。課金方式ごとの違いはEC倉庫の保管料4方式を徹底比較で比較できます。
サイズを下げるためにやること
「薄くしよう」で終わらせないために、手順に落とします。
- いまのサイズ構成を出す——出荷実績をサイズ別に集計します。60サイズが何割か、そのうちネコポスに入りうるものが何件かを見ます。
- 境目にいる商品を特定する——厚さが少し超えているだけの商品を探します。ここが最も費用対効果の高い改善対象です。
- 資材を見直す——箱をやめて厚紙やクッション封筒に替えると厚さが数ミリ縮みます。資材選びはEC事業者のための段ボール・梱包資材の選び方とEC梱包の資材選び・サイズ最適化・開封体験の設計ガイドにまとめました。
- 同梱物を減らす——チラシや冊子が厚さを押し上げていることがあります。同梱作業の実務は発送代行の梱包サービスと流通加工の実務解説で扱っています。
- 破損率を確認する——薄くした分だけ保護は弱くなります。下げたあとに破損や再送が増えていないかを必ず追います。
キャリアの使い分けもあわせて見る
薄型便はヤマト以外にも選択肢があります。複数のキャリアを併用する設計はEC事業者のマルチキャリア戦略と配送会社の使い分け、日本郵便のサービスとの比較は日本郵便の配送サービスをEC事業者向けに徹底比較で整理しています。なおSTOCKCREWの対応キャリアはヤマト運輸と佐川急便で、日本郵便は非対応です。
下げられない商品を見極めることも作業のひとつ
全部を薄型に寄せる必要はありません。壊れやすいもの、形が崩れると価値が落ちるもの、複数点まとめ買いが多いものは、無理に薄くすると別のコストが出ます。破損による再送は送料の差額を一瞬で飲み込みます。60サイズのままでよい商品を先に決めてしまうと、残った候補に集中できます。
まとめ買いの扱いも判断が要ります。1点なら薄型に入る商品でも、2点で厚さを超えるなら箱に切り替わります。同梱の点数ごとに区分が変わる商品は、システム側で自動判定できる状態にしておくと現場の迷いがなくなります。受注データと出荷指示のつなぎ方はECカートと発送代行のAPI連携とはで扱っています。
作業時間も測っておく
梱包方法を変えると1件あたりの作業時間も変わります。送料が下がっても作業が増えれば相殺されます。人時生産性の測り方はEC倉庫の人時生産性(UPH)の計算式と改善手順にまとめています。人件費側の動きは最低賃金1,177円へ、中小企業庁が支援策パッケージを公表で扱いました。
モール別の運用ではRSLとSTOCKCREWを徹底比較、FBA vs 外部発送代行を選ぶ判断基準、Yahoo!ショッピング×発送代行の選び方が対応します。外注に切り替える判断は発送代行の損益分岐を出荷件数別にシミュレーションと3PLとは?EC物流外注の全体像で試算できます。
まとめ:個数ではなくサイズ構成を見る
ヤマト運輸の2026年8月実績は、宅急便系が1億4,179万個(96.1%)、ネコポス・クロネコゆうパケットが3,916万個(115.7%)、クロネコゆうメールが569万冊(96.3%)でした。今期累計でも宅急便系96.4%に対しネコポス系117.2%で、単月の偶然ではない傾向です。
ただし規模は宅急便系がネコポス系の3.6倍以上あります。主力が入れ替わったのではなく、増分が薄型に寄っているのが実態です。
自社でやるべきことは、出荷個数を追うことではなくサイズ構成を出すことです。STOCKCREWの料金ではネコポスと60サイズの差が270円あり、60サイズと80サイズの差(90円)の3倍。ポスト投函に入るかどうかの境目を越えられる商品を探すのが最も効きます。資材と同梱物を見直し、下げたあとの破損率を追う——この順番です。
料金と作業オプションの全体像はSTOCKCREW完全ガイド、出荷体制の選び方は発送代行完全ガイド、物流全体の設計はEC物流完全ガイドにまとめています。自社のサイズ構成での試算はお問い合わせから、料金の詳細は資料ダウンロードからご覧いただけます。
よくある質問(FAQ)
Q. ヤマト運輸の2026年8月の取扱実績はどうなりましたか?
A. 宅急便・宅急便コンパクト・EAZYが141,796,942個で前年比96.1%、ネコポス・クロネコゆうパケットが39,165,598個で115.7%、クロネコゆうメールが5,696,576冊で96.3%でした。3区分のうち増加したのはネコポス系のみです。
Q. 宅配便の個数が減っているのはEC需要が落ちたからですか?
A. 公表資料は理由を説明していないため断定はできません。ただしネコポス・クロネコゆうパケットが前年比115.7%と2桁で伸びていることから、需要そのものが減ったのではなく、より薄い便へ荷物が移っている可能性があります。累計でもネコポス系は117.2%です。
Q. 主力の配送手段はネコポス系に入れ替わったのですか?
A. 入れ替わっていません。今期累計で宅急便系が773,034,675個、ネコポス系が209,967,479個で、宅急便系はネコポス系の3.6倍以上の規模があります。主力は宅急便系のままで、増分が薄型に寄っている状態です。
Q. 梱包サイズを1段下げると送料はどれくらい変わりますか?
A. STOCKCREWのおまかせ便(ハード)ではネコポスが260円、60サイズが530円で、差は270円です。一方で60サイズと80サイズの差は90円にとどまります。サイズを刻んで下げるより、ポスト投函に入るかどうかの境目を越えることが最も効きます。
Q. サイズを下げるにはどこから手をつければよいですか?
A. まず出荷実績をサイズ別に集計し、厚さがわずかに超えているだけの商品を特定してください。箱をやめて厚紙やクッション封筒に替える、同梱するチラシを減らすといった対処で数ミリ縮められます。下げたあとに破損や再送が増えていないかの確認も必要です。
Q. STOCKCREWはどの配送会社に対応していますか?
A. ヤマト運輸と佐川急便に対応しており、日本郵便は非対応です。ヤマト運輸ではおまかせ便とヤマト便の2つの料金体系があり、ネコポスと宅急便コンパクトはハード梱包のみの対応となります。
この記事の監修者
重光翔太
株式会社KEYCREW 営業管掌取締役。ヤマト運輸にて本社営業部長を歴任し、物流業界で16年以上のキャリアを積む。法人営業・コスト最適化・業者比較選定を専門とし、累計1,500社以上のEC事業者への物流支援を手がけてきた。数百万件/日規模の出荷オペレーション管理や、6,000社が利用するフルフィルメントサービスの構築、温度帯コールドチェーンの大規模荷主向け事業設計など、業界でもトップクラスの実績を持つ。STOCKCREWでは営業戦略全体を統括し、「数字で語り、ROIで証明する」をモットーに、EC事業者の物流コスト最適化を推進している。