楽天が中国出店者の支援会社を設立、海外出店は1,000店舗超|国内店舗が配送と品質で差をつける論点
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楽天市場で小型家電やアウトドア用品を売っていて、検索結果に見慣れない海外ショップが増えたと感じていないでしょうか。楽天グループは2026年9月16日、楽天市場への中国事業者の出店と運営を支援する新会社「楽天越境EC(中国)有限公司」を杭州に設立したと発表しました。楽天市場に出店する海外事業者は2025年に1,000店舗を突破し、海外事業者による流通総額は2020〜2025年に年平均30%以上で伸びています。中国からの出店者が強いのは、小型家電とアウトドア製品です。本記事では発表の中身を整理したうえで、同じモールで競う国内店舗が見直すべき配送・品質・運営の論点をまとめます。物流の委託先選びの全体像は発送代行おすすめ25選が土台になります。
発表の概要|新会社・数字・狙い
まず、発表された事実を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年9月16日 |
| 新会社名 | 楽天越境EC(中国)有限公司(中国語表記:楽天跨境電商(中国)有限公司) |
| 登記日 | 2026年8月24日 |
| 所在地 | 中国浙江省杭州市 |
| 事業内容 | 楽天市場への中国事業者の出店誘致および運営サポート |
| 海外事業者の出店数 | 2025年に1,000店舗を突破(中国・韓国・アメリカなど) |
| 海外事業者の流通総額 | 2020〜2025年の年平均成長率30%以上 |
| 中国出店者の中心カテゴリ | 小型家電、アウトドア製品 |
「楽天市場」への海外事業者の出店数は中国、韓国、アメリカをはじめとする世界各国から増加し、2025年には1,000店舗を突破しました。
出典:楽天グループ「楽天、『楽天市場』への中国事業者の出店および運営をサポートする新会社『楽天越境EC(中国)有限公司』を杭州に設立」(2026年9月16日)
楽天が掲げる狙いは「日本にいながら海外の商品を」
楽天は、ユーザーが日本にいながら海外の商品を安心して買える環境を目指して、海外事業者の出店を促してきたと説明しています。安心の担保として挙げられているのが、厳しい出店審査と、トラブル時の「楽天あんしんショッピングサービス」による保証です。
国内EC全体の規模との関係
楽天の国内EC流通総額は、2026年度第2四半期に1兆5,322億円(前年同期比5.3%増)でした(楽天グループ 2026年度第2四半期 決算ハイライト)。海外事業者の流通総額がこのうちどれだけを占めるかは公表されていませんが、伸び率では国内全体を大きく上回るペースです。決算の内容は楽天の国内EC流通総額1兆5,322億円・前年比5.3%増で扱いました。
新会社が提供する支援の中身
新会社は、中国事業者が出店を検討する段階から成長段階までを一貫して支援するとしています。発表から読み取れる支援を段階別に並べると、次のようになります。
言語と商習慣の壁を下げる支援
出店前には、日本市場の特性・商習慣・消費動向を学ぶセミナーを積極的に開くとしています。出店後は、日本語と中国語に対応したECコンサルタントが店舗の立ち上げから販売促進まで伴走します。これまで海外事業者にとって障壁だった言語と商習慣の部分を、楽天側が肩代わりする設計です。
セールイベントの活用まで支援対象
杭州にはマーチャントサポートセンターを構え、EC運営研修を提供します。さらに「楽天スーパーSALE」や「お買い物マラソン」を活用した認知拡大やリピーター獲得まで、出店から成長までをワンストップで支援するとしています。つまり、国内店舗が売上を積み上げてきたセール期の競争にも、支援を受けた中国出店者が本格的に加わることになります。
国内店舗にとって何が変わるのか
楽天市場の出店者数が増えること自体は、モールとしての集客力を高める面もあります。ただ、同じカテゴリで競う国内店舗にとっては、比較される相手が増えることを意味します。
価格以外の比較軸がより重くなる
中国出店者の中心である小型家電とアウトドア製品は、仕様が似た商品が並びやすいカテゴリです。価格だけで勝負すると消耗戦になりやすいため、届くまでの日数、返品や問い合わせへの対応、製品の安全表示といった、価格以外で選ばれる理由を磨くことが現実的な対抗策になります。SHEINやTemuのような海外プラットフォームとの競争についてはSHEIN・TEMU時代に国内EC事業者が取るべき戦略で整理しました。
自社カテゴリの競合状況を点検する
影響の大きさは、扱っている商品によって変わります。次の順で自社のカテゴリを点検すると、打ち手の優先順位が決めやすくなります。
- 主力商品の検索結果を定点観測する——主要キーワードで表示される上位店舗のうち、海外事業者がどれだけ含まれるかを月1回記録します。
- 表示される配送日数を比べる——自社と上位店舗の「お届け予定日」を並べ、差が出ているかを確認します。
- レビューの指摘内容を読む——梱包・配送・説明書・問い合わせ対応への不満が書かれていないかを見ます。
- 差が出ている項目から手を付ける——配送日数なら物流、説明不足なら商品ページ、と改善先を振り分けます。
この点検は、海外事業者に限らず国内の競合店舗に対しても有効です。比べる軸を価格以外に広げておくことが、競争の激しいカテゴリで利益を守る前提になります。
越境ECの物流も国内化が進んでいる
海外の事業者が日本向けの在庫を国内倉庫に置く動きは、すでに広がっています。中国発越境ECの国内倉庫シフトとEC物流競争の変化やSHEIN・Temuが物流を現地化で扱ったとおり、配送日数の差は以前ほど大きくない場合もあります。「国内から出すから速い」が当然の強みとは限らない点は、押さえておく必要があります。
差をつける論点1:配送スピードと在庫の置き場所
楽天市場には配送品質に関わるラベル施策があり、届くまでの日数は店舗どうしの比較材料になります。国内店舗は、国内に在庫を持つ強みを配送品質として見える形にすることが第一の論点です。
配送ラベルの取得条件を確かめる
楽天市場の配送品質に関わる施策として、最強配送ラベルがあります。外部の物流会社を使いながら取得する方法は楽天最強配送ラベルを外部3PLで獲得する方法にまとめています。楽天市場の物流全体の考え方は楽天市場の物流戦略2026が入口です。
RSLと外部委託の比較をやり直す
楽天市場の出店者が物流を委託する場合、楽天スーパーロジスティクス(RSL)と外部の発送代行が主な選択肢になります。競争環境が変わるタイミングは、比較をやり直す好機です。料金と機能の違いはRSLとSTOCKCREWを徹底比較、委託の実務は楽天市場×発送代行の実務ガイド、切り替えの手順は楽天市場の発送代行を外部3PLに切り替える実務ガイドで確認できます。
受注から出荷までを自動でつなぐ
出荷を速くするには、受注処理の手作業を減らすことも欠かせません。STOCKCREWは楽天RMSとAPI連携しており、楽天市場の注文を自動で取り込んで出荷につなげられます。RMSの基本操作はRMSとは?楽天市場の店舗管理システムの使い方で整理しています。
差をつける論点2:製品安全と問い合わせ対応
小型家電やアウトドア製品には、バッテリーを内蔵するものや、使い方を誤ると事故につながるものが含まれます。安全面の説明と、購入後の問い合わせ対応は、国内店舗が信頼を積み上げやすい領域です。
製品安全誓約に楽天市場も署名している
消費者庁の製品安全誓約は、オンラインマーケットプレイスの運営事業者が安全でない製品の出品削除などに取り組む仕組みです。消費者庁は次のように位置づけています。
製品安全に係る法的枠組みを超えた「官民協働の自主的な取組」です。
署名したオンラインマーケットプレイスには楽天市場も含まれます。安全でない製品は出品削除の対象になり得るため、商品ページの安全表示や説明を整えておくことが、出店者側でできる備えです。制度の全体像は製品安全誓約とは?ネットで販売する事業者が知るべき仕組みで解説しました。
バッテリー内蔵品は出荷と表示の両面で準備する
モバイルバッテリーのようなリチウムイオン電池内蔵品は、購入者が安全性を気にかける商品です。購入時の重視点を尋ねた結果はモバイルバッテリー購入時の重視点で扱いました。出荷時の注意点はリチウムイオン電池を含む商品のEC出荷ガイド、小型ガジェット全般の物流はスマホアクセサリー・小型ガジェットECの発送代行実務ガイドにまとめています。
アウトドア用品は荷姿の工夫で差が出る
テントやチェアなど、長尺・大型のアウトドア用品は梱包と配送サイズの設計がコストと破損率を左右します。カテゴリ別の実務はスポーツ・アウトドアEC発送代行の実務ガイド、家電・電子機器は家電・電子機器ECの物流設計パターンでカテゴリ固有の注意点を整理しています。
差をつける論点3:セール期の出荷体制
新会社は、楽天スーパーSALEやお買い物マラソンの活用まで支援対象に含めています。セール期に注文が集中したとき、出荷が遅れれば評価が下がり、次のセールでの露出にも響きます。
ピーク時の出荷能力を事前に確保する
セール期の出荷量は平常時の何倍にもなることがあります。ピーク時にも締め時間どおりに出荷できるかは、自社出荷でも委託でも事前に確かめておくべき点です。設計の考え方は楽天スーパーSALEの出荷急増に備える物流設計で整理しています。
在庫配分を複数モールで一元管理する
楽天市場以外のモールにも出店している場合、セール期に在庫が偏ると欠品や過剰在庫を招きます。複数ECモール同時出店の物流一元管理と在庫配分設計の考え方で、モールをまたいだ在庫の持ち方を見直しておくと、競争が激しくなるセール期にも対応しやすくなります。楽天市場の運営全般はネットショップ運営完全ガイドで体系的に押さえられます。
まとめ:同じモールで競う前提で物流を組み直す
楽天グループは2026年9月16日、中国事業者の楽天市場への出店と運営を支援する新会社を杭州に設立したと発表しました。海外事業者の出店は2025年に1,000店舗を突破し、流通総額は2020〜2025年に年平均30%以上で成長しています。中国出店者は小型家電とアウトドア製品が中心で、新会社は日中対応のコンサルタントによる伴走から、スーパーSALEやお買い物マラソンの活用まで支援します。
同じカテゴリで競う国内店舗にとっては、配送スピードと在庫の置き場所、製品安全と問い合わせ対応、セール期の出荷体制の3点が、価格以外で選ばれる理由になります。まずは自社の出荷締め時間と配送日数、セール期の出荷能力を数字で把握するところから始めてください。
物流の委託先を比べるなら発送代行おすすめ25選、STOCKCREWの料金やサービスの全体像はSTOCKCREW完全ガイドにまとめています。楽天市場での出荷条件を伝えて具体的に相談したい場合はお問い合わせから、まず情報を集めたい場合は資料ダウンロードをご利用ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 楽天越境EC(中国)有限公司とはどのような会社ですか?
A. 楽天グループが中国浙江省杭州市に設立した新会社で、楽天市場への中国事業者の出店誘致と運営サポートを事業内容としています。登記日は2026年8月24日、発表は2026年9月16日です。中国語表記は楽天跨境電商(中国)有限公司です。
Q. 楽天市場に出店している海外事業者はどのくらいいますか?
A. 楽天の発表によると、楽天市場への海外事業者の出店数は中国、韓国、アメリカをはじめとする世界各国から増加し、2025年に1,000店舗を突破しました。海外事業者による流通総額は、2020年から2025年にかけて年平均成長率30%以上で伸びています。
Q. 中国からの出店者はどんな商品を扱っていますか?
A. 楽天の発表では、中国からの出店者は小型家電やアウトドア製品を中心に越境EC事業をけん引しているとされています。これらのカテゴリで楽天市場に出店している国内店舗は、比較される相手が増える前提で準備を進める必要があります。
Q. 新会社はどのような支援を行うのですか?
A. 出店前には日本市場の特性・商習慣・消費動向を学ぶセミナーを開き、出店後は日本語と中国語に対応したECコンサルタントが店舗立ち上げから販売促進まで伴走します。杭州のマーチャントサポートセンターでのEC運営研修や、楽天スーパーSALEやお買い物マラソンを活用した認知拡大・リピーター獲得の支援も含まれます。
Q. 海外の商品を買う消費者の安心はどう担保されていますか?
A. 楽天は、厳しい出店審査を実施しているほか、万が一のトラブルの際には「楽天あんしんショッピングサービス」による保証を提供していると説明しています。また、楽天市場は消費者庁の製品安全誓約に署名したオンラインマーケットプレイスの一つです。
Q. 国内店舗はまず何から見直せばよいですか?
A. 価格以外で選ばれる理由を数字で把握することです。具体的には、出荷の締め時間と配送日数、セール期にどこまで出荷できるか、製品の安全表示や問い合わせ対応の体制を確認します。物流を委託している場合は、RSLと外部の発送代行の比較をこの機会にやり直すのも有効です。
この記事の監修者
保阪涼子
株式会社KEYCREW 営業部長。物流会社で10年間、EC物流の現場担当・営業事務を経験し、EC・物流業界で通算10年以上のキャリアを持つ。STOCKCREWではサービス開始初期から商談を担当し、500社以上のEC事業者への導入支援を一貫して手がけてきた。YFF(Yahoo!フルフィルメント)移管時には1,000社超の顧客接点・フロー設計を主導。月間10万件以上の出荷管理に携わり、顧客の物流費を平均15%削減する成果を上げている。成約率50%を達成した営業手法には、「『売る』より『解く』」という顧客課題解決型のアプローチが根底にある。物流メディア(Logistics Today、ECのミカタ)へのインタビュー掲載実績も持つ。