Shopifyでイギリスに直販する発送ガイド|£135の線引き・VAT・送料の積み上げ
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Shopifyのストアに、イギリスからの注文が入るようになってきました。日本のブランドから直接買いたいというお客さまは、ヨーロッパにもいます。一方で、イギリス向けは送料が大きく、さらに英国政府は、海外の売り手に「£135以下の荷物はVATを販売時点で課税する」ことを求めています。ここを知らないまま売り始めると、税の扱いが後から問題になります。本記事では、Shopifyでイギリスに直販する日本の事業者に向けて、英国政府(gov.uk)が案内する£135の線引き、£135以下の関税免除が廃止される予定であること、国際宅急便の送料の積み上げ方、商品情報の準備、発送代行に任せる前の準備を順に整理します。ほかの国の例は、欧州、米国、カナダの記事でも扱っています。
Shopifyでイギリスに売るときの3つの壁
Shopifyは、日本のブランドが越境ECを始めるときに選ばれることの多いカートです。機能の全体像はShopifyとは?料金・プラン比較・越境EC対応にまとめています。Shopifyで売る事業者の足元には、国内のEC市場の拡大があります。経済産業省は、2024年の市場規模を次のように公表しています。
2024年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、26.1兆円(前年24.8兆円、前々年22.7兆円、前年比5.1%増)に拡大しています。
国内で売れる商品を海外のお客さまにも届けたい、という段階で、イギリス向けの発送を始めると直面する壁を、3つに絞ります。
荷物の金額で、VATの扱いが分かれる
英国政府は、荷物の価値が£135以下かどうかで、売り手が負うVATの義務を分けて案内しています。販売ページやチェックアウトの設計に直結するため、最初に押さえます。第2章で整理します。
関税の免除が、今後なくなる予定になっている
£135以下の荷物に対する関税の免除は、廃止される予定です。施行日はまだ確定していません。価格設計は、免除がなくなる前提でも成り立つようにしておく必要があります。第3章で、公表されている時期を確認します。
送料がサイズで大きく変わり、送れない荷物もある
イギリス向けの送料は、梱包のサイズが1段上がるだけで数千円単位で変わります。国際宅急便には、送れない荷物の規定もあります。第4章と第5章で扱います。
イギリスは£135で、VATの扱いが分かれる
英国政府(gov.uk)は、海外の売り手が英国のお客さまに直接商品を売る場合のVAT(付加価値税)について、荷物1つの価値が£135以下の場合を、次のように案内しています。
If the total value of consignment is £135 or less you must charge and account for VAT.
出典:英国政府(GOV.UK)「Charging VAT on goods sold direct to customers in the UK」(英語の原文)
和訳すると、「荷物の合計価値が£135以下の場合、VATを課税し、申告しなければならない」という内容です。同じページでは、英国に拠点を持たない事業者を「overseas seller」と定義しています。日本の事業者が日本から直接イギリスに売る場合は、この海外の売り手にあたります。£135を超える場合については、同じページに次のように書かれています。
If the total value of the consignment is more than £135, normal import VAT and customs rules will apply.
出典:英国政府(GOV.UK)「Charging VAT on goods sold direct to customers in the UK」(上記と同じページ。英語の原文)
「通常の輸入VATと関税のルールが適用される」という意味です。図1に、この分かれ目を整理します。
この案内は、事業者が自分で確認する範囲として扱う
上の案内が求める、英国でのVATの登録や申告の手順、金額の基準、税率は、本記事では扱いません。VATの登録・申告は、販売する事業者自身が負う義務です。登録の要否や手順は、gov.ukのページと、税の専門家(税理士など)に確認してください。国際宅急便の倉庫(STOCKCREW)が、売り手のVATの登録や申告を代行するわけではありません。
| 荷物の合計価値(gov.ukの案内) | 売り手側の扱い | 販売ページ・運用での準備 |
|---|---|---|
| £135以下 | 海外の売り手は、販売時点でVATを課税し、申告する | VATの登録・申告の方法を、販売開始前に確認して決める |
| £135を超える | 通常の輸入VATと関税のルールが適用される | お客さまが荷物を受け取るときの支払いが出る可能性を、購入前に表示する |
お客さまの受け取り時の支払いについて、STOCKCREWの国際配送では、届け先の国の関税は受け取る方の負担になります。荷主が関税を負担する形には対応していません。このため、販売ページに「関税込み」と書くことは避け、「お受け取り時に関税・税が発生する場合があります」といった注意を入れます。関税の負担の設計は越境ECの関税負担をどう設計するか、国ごとの少額免税の見直しは越境ECの少額免税が世界で終わるで扱っています。関税の計算の流れは関税の仕組みと計算方法が手がかりになります。
£135以下の関税免除は、廃止される予定
英国政府は、低額の輸入品に対する関税の扱いを見直しています。£135以下の荷物にかかる関税の免除について、gov.ukは次のように案内しています。
remove the relief from import duty for goods valued at £135 or less, making LVIs subject to customs duty
出典:英国政府(GOV.UK)「Reforming the customs treatment of low value imports into the UK」(英語の原文。LVIは低額輸入品)
和訳すると、「£135以下の品物に対する輸入関税の免除をなくし、低額輸入品を関税の対象にする」という内容です。開始時期は、同じページで次のように示されています。
The measure will come into force on a day appointed by the Treasury in regulations made by October 2028 at the latest.
出典:英国政府(GOV.UK)「Reforming the customs treatment of low value imports into the UK」(上記と同じページ。英語の原文)
「財務省が定める日に開始する。遅くとも2028年10月までに規則を定める」という意味です。同じページには、以前の予定だった2029年3月から、遅くとも2028年10月へ、6か月前倒しされたことも書かれています。ページの更新日は2026年10月28日です(今回の取得時点)。図2に、時期の関係を示します。
価格は、関税がかかる前提でも成り立つようにしておく
開始日が確定していないため、「いつから関税がかかるか」を断定して販売ページに書くことはできません。実務では、次の2点を決めておきます。1つ目は、£135以下の商品でも、将来は関税が加わる可能性があることを前提に、受け取り時の費用の注意書きを用意しておくことです。2つ目は、販売価格や送料の設計で、免除がなくなっても利益が残るかを確認しておくことです。最新の状況は、gov.ukのページで定期的に確認してください。
イギリスは「ヨーロッパ・中東」ゾーン:送料を積み上げる
STOCKCREWの国際配送は、ヤマト運輸の国際宅急便を利用しています。国内の区間(空港まで)はヤマト運輸が、海外の区間(通関から海外の配送)はヤマト運輸の提携パートナーであるUPSが担当し、200か国以上へ送れます。料金は梱包後のサイズで決まり、燃油サーチャージや遠隔地手数料などの変動費用は発生しません。イギリスは、ドイツ・フランス・イタリアなどと同じ「ヨーロッパ・中東」のゾーンに入ります。ヤマト運輸は、国際宅急便を次のように案内しています。
世界の国々へ贈り物や商品等を送る場合にご利用いただける、海外向けの宅急便です。
出典:ヤマト運輸「国際宅急便」
STOCKCREWの基本料金は次のとおりです(税抜)。
| 梱包サイズ(ヨーロッパ・中東ゾーン・税抜) | 書類パック | 60 | 80 | 100 | 120 | 140 | 160 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 基本料金(1件) | 2,050円 | 4,300円 | 7,200円 | 13,700円 | 22,200円 | 32,350円 | 41,100円 |
基本料金とは別に、海外発送手数料が1件あたり一律300円、同じ注文に同梱する2点目以降の追加ピッキングが1点あたり30円かかります(税抜)。発送料金は、1点あたりの作業費・資材費・配送料を含んだ料金です。最新の料金は料金ページで公開しています。アジアやオセアニア・北米・中米のゾーンより基本料金が高いため、イギリス向けは価格設計の影響が大きくなります。
計算例:3点を同梱して送る場合
雑貨を3点、80サイズに収めて送る場合、1件あたりの費用は基本料金7,200円+海外発送手数料300円+追加ピッキング30円×2点=7,560円(税抜)です。同じ荷物が100サイズになると、合計は14,060円になり、差は6,500円です。図3に、梱包サイズ別の合計を示します。
120サイズでは22,560円まで上がります。商品構成ごとに、小さいサイズに収まる組み合わせを先に決めておくことが、イギリス向けの価格設計の出発点です。1件あたりの費用が決まったら、送料を販売価格に含めるか、購入者に別立てで請求するかを選びます。
商品情報の登録と、Shopifyの注文を出荷につなげる方法
海外へ発送する商品は、STOCKCREWの商品情報で「海外発送」を有効にし、HSコード・原産国・大分類・中分類(危険物の有無)を入力します。受注明細の単価も必須です。
HSコードは商品マスタに1回登録する
HSコードは、品目を国際的に共通の番号で分類したものです。日本の税関の実行関税率表で、品目の分類を確認できます。調べ方の手順はHSコードの調べ方ガイドにまとめています。商品情報に一度登録しておけば、出荷のたびに入力する必要はありません。通関の基本は通関とは?越境ECで必須の手続きの流れと必要書類で確認できます。
単価は「実際に売った金額」で入れる
受注明細の単価は必須項目です。書類の金額と実際の販売価格がずれないよう、注文の金額をそのまま使うのが基本です。£135の線を意識して金額を書き換えるのは避けます。インボイスの書き方はプロフォーマインボイス(PI)とは?が手がかりになります。
送れない荷物は、依頼主と届け先の区分でも変わる
STOCKCREWの国際配送は、発送の可否や荷物の取扱条件がヤマト運輸の規定に準じます。お届け先の国・地域や、依頼主・届け先が法人か個人かによって、荷物を発送できない場合があります。依頼主か届け先のどちらか一方でも個人の場合、書類以外の荷物を発送できない国があります。イギリスが該当するかを含め、対象国・地域、送れない品物、サイズ・重量の上限、国ごとの注意事項を、発送前にヤマト運輸の国際宅急便の公式ページで確認しておきます。商品ごとの輸出入の手続きは、JETROの商品ごとの輸出入手続きでも調べられます。
STOCKCREWでは、ShopifyとのAPI連携を利用料0円で組めます。イギリスからの注文も、国内の注文と同じように倉庫のシステムへ取り込まれ、出荷後は送り状番号がShopifyに送られて注文が「発送済み」に変わります。国内と海外の在庫を1つの倉庫で持てるため、在庫を国別に分けて置く必要がありません。連携の具体例はShopifyとSTOCKCREW発送代行のAPI連携、業者選びはShopify×発送代行の連携方法と業者選定ガイドで扱っています。
取り込みの前提はバリアントSKU
STOCKCREWの新連携方式(ShopifyV2)では、Shopify側の商品バリアントにSKUを設定しておくことが前提です。SKUが空白のまま注文が入ると受注を取り込めず、倉庫のシステムに手作業で登録し直すことになります。店舗登録では、プラットフォームに「ShopifyV2」を選びます。同じShopifyストアを複数の店舗に紐付けることはできません。SKUと商品連携の登録順はShopify雑貨ストアの発送代行実務で整理しています。
送り先の住所は、項目を分けて入れる
海外向けの受注登録では、郵便番号、県/地方/州、住所1(都市名)、住所2(都市名以降の住所)を入力します。イギリスの注文では、お客さまが入力した住所を、これらの項目に欠けなく割り振れているかを確認します。
イギリス向けの発送を発送代行に任せる前の準備
ここまでの内容を、切り替え前のチェックリストにまとめます。多くは商品情報と価格設計にかかわるため、倉庫に商品を送る前に済ませておくと立ち上がりがスムーズです。
- £135以下のVATの扱いを確認する——海外の売り手は販売時点でVATを課税し、申告することになります。登録・申告の方法は、gov.ukのページと税の専門家で確認します。
- 受け取り時の関税・税の注意書きを用意する——STOCKCREWの国際配送では、届け先の国の関税は受け取る方の負担です。「関税込み」とは書きません。
- 関税免除の廃止予定を、価格設計に織り込む——開始日は確定していないため、免除がなくなっても利益が残るかを確認します。
- 梱包サイズを商品構成ごとに決める——小さいサイズに収まる組み合わせを優先します。
- すべての商品にHSコードと原産国を登録する——商品情報に一度入れておけば出荷ごとの入力は不要です。
- ShopifyのバリアントすべてにSKUを入れる——空欄があると注文が取り込まれません。
- 送れない荷物を確認する——ヤマト運輸の国際宅急便の公式ページで、イギリスの条件と、依頼主・届け先の区分を見ておきます。
越境ECの発送代行の選び方
越境ECで発送代行を比べる軸は越境EC×発送代行の始め方と業者選定の実務ガイド、海外発送に強い業者の比べ方は海外発送代行サービスの選び方と越境EC業者比較にまとめています。STOCKCREWは初期費用0円・固定費0円で、1点から預けられ、導入は最短7日です。
まとめ:イギリス直販は「£135の線引き」と「送料の積み上げ」で設計する
Shopifyでイギリスに直販する日本の事業者が押さえておきたいのは、£135の線引きでVATの扱いが分かれること、£135以下の関税免除が廃止される予定であること、そして送料の積み上げ方です。英国政府は、荷物の合計価値が£135以下の場合はVATを課税し申告すること、£135を超える場合は通常の輸入VATと関税のルールが適用されることを案内しています。関税の免除は、遅くとも2028年10月までに廃止される予定ですが、開始日は確定していません。送料は、国際宅急便の基本料金に海外発送手数料300円と追加ピッキングを足して積み上げ、梱包サイズで合計が大きく変わります。商品ごとのHSコード・原産国とバリアントSKUを先に登録しておけば、Shopifyの注文は国内と同じ倉庫から出荷できます。
発送代行の仕組みや業者の比べ方は発送代行おすすめ25選、物流全体の設計はEC物流完全ガイド、STOCKCREWのサービス内容はSTOCKCREW完全ガイドにまとめています。イギリス向けの出荷件数やサイズで費用を確かめたい場合はお問い合わせから、まずは情報を集めたい段階であれば資料ダウンロードをご利用ください。
よくある質問(FAQ)
Q. イギリスに送る国際宅急便の送料はいくらですか?
A. STOCKCREWの国際宅急便では、イギリスは「ヨーロッパ・中東」のゾーンに入り、基本料金は60サイズで4,300円、80サイズで7,200円、100サイズで13,700円です(いずれも税抜)。これに海外発送手数料300円(1件)と、2点目以降の追加ピッキング30円(1点)がかかります。燃油サーチャージや遠隔地手数料は発生しません。
Q. イギリス向けの荷物に、VATや関税はかかりますか?
A. 英国政府(gov.uk)は、荷物の合計価値が£135以下の場合、海外の売り手はVATを課税し、申告しなければならないと案内しています。£135を超える場合は、通常の輸入VATと関税のルールが適用されます。登録・申告の手順は、gov.ukのページと税の専門家に確認してください。
Q. £135以下の関税の免除は、いつなくなりますか?
A. 英国政府は、£135以下の品物に対する輸入関税の免除をなくす方針を示しています。開始日は財務省が定める日とされ、遅くとも2028年10月までに規則を定めるとされています。確定した日付は示されていないため、最新の状況はgov.ukのページで確認してください。
Q. 関税を、荷主の負担にして送れますか?
A. STOCKCREWの国際配送では、届け先の国の関税は受け取る方の負担になり、荷主が負担する形には対応していません。販売ページには「関税込み」と書かず、受け取り時に関税・税が発生する場合があることを表示してください。
Q. イギリス向けに送れない商品や、発送の制限はありますか?
A. STOCKCREWの国際配送はヤマト運輸の国際宅急便を利用しており、発送の可否や取扱条件はヤマト運輸の規定に準じます。依頼主か届け先のどちらか一方でも個人の場合、書類以外の荷物を発送できない国があります。イギリスが該当するかを含め、発送前にヤマト運輸の国際宅急便の公式ページで確認してください。
この記事の監修者
保阪涼子
株式会社KEYCREW 営業部長。物流会社で10年間、EC物流の現場担当・営業事務を経験し、EC・物流業界で通算10年以上のキャリアを持つ。STOCKCREWではサービス開始初期から商談を担当し、500社以上のEC事業者への導入支援を一貫して手がけてきた。YFF(Yahoo!フルフィルメント)移管時には1,000社超の顧客接点・フロー設計を主導。月間10万件以上の出荷管理に携わり、顧客の物流費を平均15%削減する成果を上げている。成約率50%を達成した営業手法には、「『売る』より『解く』」という顧客課題解決型のアプローチが根底にある。物流メディア(Logistics Today、ECのミカタ)へのインタビュー掲載実績も持つ。