楽天の国内EC流通総額1兆5,322億円・前年比5.3%増|出店者が出荷体制を整える手順【2026年8月】
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楽天市場に出店していると、「市場全体は伸びているのに自店の売上が横ばい」という感覚に悩まされることがあります。その比較の基準になる数字が出ました。楽天グループが2026年8月10日に公表した2026年度第2四半期決算によると、国内ECにおける流通総額は1兆5,322億円(前年同期比5.3%増)です。この記事では、この伸び率を自社の月間出荷件数とピーク日の件数に翻訳する手順を示し、2026年10月30日の置き配原則必須化までに整えておくべき出荷側の準備を整理します。伸びを取りこぼさない体制づくりの選択肢として、発送代行の費用構造もあわせて押さえておくと判断が早くなります。
2026年度第2四半期の国内EC実績
国内EC流通総額は1兆5,322億円
2026年度第2四半期の国内EC流通総額は1兆5,322億円で、前年同期比5.3%増でした。流通総額(GMS)は、モール上で実際に売れた商品・サービスの総額を指します。楽天自身の売上ではなく、出店者の売上の合計に近い数字なので、出店者が「市場全体の伸び」と自店を比べる基準線として使えます。四半期で1兆5,000億円を超える規模が5.3%伸びたということは、金額ベースで約770億円ぶんの需要が上積みされた計算になります。
楽天側の収益は流通総額を上回る伸び
同じ四半期のインターネットサービスセグメントは、売上収益が3,381億円(前年同期比4.2%増)、Non-GAAP営業利益が231億円(前年同期比68.6%増)でした。国内ECのNon-GAAP営業利益は297億円(前年同期比30.8%増)と大幅な増益です。広告事業も、楽天市場や楽天トラベルにおける検索連動型広告およびターゲティングディスプレイ広告のAI活用推進が貢献し、売上収益は656億円(前年同期比15.6%増)と伸びています。流通総額5.3%増に対して利益が30%超の伸びという構図は、モールの収益源が広告に寄っていることを示します。出店者から見れば、売上を伸ばすための広告費が増えやすい環境ということでもあります。
2026年度第2四半期の国内ECにおける流通総額は、1兆5,322億円(前年同期比5.3%増)に。「楽天市場」や、レジャー需要を着実に取り込んだトラベル事業などのコアビジネスの堅調な収益成長に加え、成長投資ビジネスにおける収益性改善に向けた各種取り組みも寄与し、Non-GAAP営業利益は297億円(前年同期比30.8%増)となり大幅増益。
決済側の数字も需要の裏付けになる
あわせて見ておきたいのがフィンテック側の数字です。楽天カードのショッピング取扱高は同四半期で7.1兆円(前年同期比9.4%増)と伸びています。カード取扱高はEC以外の実店舗決済も含みますが、経済圏全体の消費が動いていることの裏付けにはなります。流通総額の5.3%増が単発の数字ではなく、決済まで含めた面で消費が伸びている流れの一部だと読めます。
流通総額の定義見直しという注意点
今回から定義が一部変わっている
この5.3%増という数字には、読むうえでの前提があります。楽天は今回の発表で、2026年度第2四半期より国内EC流通総額の定義等を一部見直し、過去数値についても遡及修正を実施したと注記しています。つまり前年同期の数値も新しい定義に置き換えたうえでの比較です。これは同一基準での比較という点では正しい処理ですが、過去に自分でメモしていた流通総額と今回の数字を直接引き算すると、実態と合わないことになります。自社の分析シートに流通総額の推移を記録している場合は、今回のタイミングで系列を作り直しておくのが確実です。
「モールの伸び」と「自店の伸び」は別物
もうひとつ押さえておきたいのは、流通総額はモール全体の合計であって、出店者ごとの伸びを保証するものではないという点です。市場が5.3%伸びていても、店舗数や出品数も増えていれば、1店舗あたりの取り分は必ずしも5.3%増にならないことがあります。したがって使い方は「自店がこの水準を上回っているか、下回っているか」という相対評価の基準線です。下回っているなら市場の伸びを取りこぼしており、上回っているなら市場以上に伸びている。この切り分けだけでも打ち手の優先順位は変わります。RMSのデータで自店の推移を出し、この数字と並べるところから始めるのが実務的です。国内のBtoC-EC市場全体はすでに26兆円規模に達しており、その中で楽天市場という区画がどれだけ伸びているかを見るのがこの数字の位置づけです。
2024年の日本国内のBtoC-EC市場規模は26兆1,654億円(前年比5.1%増)に拡大し、EC化率はBtoC-ECで9.8%(前年比0.4ポイント増)となった。
| 自店の前年同期比 | 市場(+5.3%)との比較 | 優先すべき打ち手 |
|---|---|---|
| +10%以上 | 市場を大きく上回る | 出荷能力とカットオフの拡張を先に進める |
| +5〜10% | 市場並み〜やや上 | ピーク日の処理能力を点検する |
| 0〜+5% | 市場を下回る | 検索順位・配送速度の訴求を見直す |
| マイナス | 市場と逆行 | 商品ページと在庫欠品の両面を点検する |
5.3%を自社の出荷件数に翻訳する
金額の伸びを件数に置き換える
流通総額は金額の指標ですが、倉庫の負荷を決めるのは件数です。金額の伸びをそのまま件数の伸びと見なすと過大に見積もることがあります。値上げによって単価が上がっていれば、金額が5.3%伸びても件数は3%程度しか増えていない、という状況が起こりえます。したがって手順は、まず自店の平均客単価の前年同期比を出し、金額の伸び率から単価の上昇分を差し引いて件数の伸びを推定することです。単価が2%上がっているなら、5.3%の金額増は件数では3%前後の増加と読むのが妥当です。1配送あたりの点数と粗利の設計は粗利密度の観点で点検できます。
月平均ではなくピーク日で設計する
件数の伸びを月平均で捉えると、必ず設計を誤ります。楽天市場はスーパーSALEなど大型イベントに需要が集中するため、ピーク日の出荷件数は平常日の3〜5倍に達することがあります。月40件の増加は平常日には1〜2件の差でしかありませんが、ピーク日には数十件の差として現れます。設計の基準は常に最も混む1日です。自社の過去実績からピーク倍率を出し、そこに伸び率を掛けた件数が、今の体制で当日出荷できるかを確認します。
ボトルネックは人ではなく締め時間に出る
件数が増えたときに最初に詰まるのは、多くの場合受注締め(カットオフ)から出荷完了までの時間です。人を増やしても、検品と梱包の1件あたり所要時間が変わらなければ、締め時間までに処理できる上限は動きません。出荷カットオフを1時間後ろに動かせるかどうかが受注機会に直結するのは、この構造があるためです。ピッキング方式を件数規模に合わせて見直すと、人員を増やさずに処理上限を引き上げられる場合があります。
| 点検項目 | 確認する数字 | 詰まったときの打ち手 |
|---|---|---|
| 1件あたり作業時間 | 検品+梱包の平均分数 | 梱包資材の統一・セット組の事前化 |
| 締め時間までの処理上限 | カットオフ後に出せる件数 | カットオフの後ろ倒し・2便化 |
| ピーク日の倍率 | 平常日比の最大値 | 倉庫側で波動を吸収する体制に切り替え |
| 在庫の置き場所 | 売れ筋の動線距離 | ロケーション再配置・前倒し補充 |
10月30日までに整えるべき出荷側の準備
置き配の原則必須化が控えている
需要の伸びに備えるのと同時に、出荷側のルール変更も近づいています。楽天市場では2026年10月30日から置き配設定が原則必須化されます。対象条件や対象外商品の整理、補償の扱いは出荷方法の選択に直結するため、需要増への備えと同じタイミングで確認しておくのが効率的です。件数が増えてから設定変更に着手すると、繁忙期と作業が重なります。
配送速度の訴求は検索露出に効く
市場が伸びている局面では、同じ商品を扱う店舗のあいだで配送速度が差別化要素になります。楽天市場では配送品質に応じたラベルの獲得が露出に影響するため、外部倉庫を使う場合もその条件を満たせるかが論点です。最強配送ラベルを外部3PLで獲得する条件を先に確認しておけば、倉庫選びの判断軸が定まります。
SKUと在庫データの整合を先に取る
件数が増える前にやっておきたいのが、商品データと在庫数の整合です。SKU単位の在庫管理が倉庫側と揃っていないと、受注が増えたときに欠品や誤出荷の形で問題が表面化します。データのずれは件数が少ないうちは目立たず、件数が増えると一気に事故化するという性質があります。伸びを見込むなら、この整合を先に済ませておくのが順序です。
伸びを取りこぼさない出荷体制の選び方
自社出荷の限界は人手の確保で先に来る
件数の増加に自社出荷で対応する場合、設備よりも先に人の確保が壁になります。完全失業率が2.5%という環境では、セール期だけ短期の人員を集める前提が成り立ちにくくなっています。ピークに合わせて人を抱えると閑散期の固定費になり、平常時に合わせるとピークで出荷が滞るというジレンマが構造的に残ります。
固定費を出荷量に連動させる
このジレンマを解く方向は、出荷にかかる費用を固定費から出荷量に応じた変動費へ寄せることです。出荷を発送代行に委ねれば、セール期は倉庫側の体制でピークを吸収し、平常時は出荷件数に応じた費用だけで済みます。市場が5.3%伸びているとはいえ、四半期ごとに伸び率は変わるため、伸びが鈍ったときに費用が自動的に下がる形にしておくと下振れにも耐えられます。切り替えの損益分岐は出荷件数別のシミュレーションで試算できます。
RSLと外部委託を条件で比べる
楽天出店者が外部倉庫を検討するとき、まず候補に挙がるのが楽天スーパーロジスティクス(RSL)です。ただし、利用条件・導入までの期間・初期費用・小ロット対応の可否は事業者によって重みが違います。RSLとSTOCKCREWの比較で条件を並べ、楽天市場と発送代行の実務を踏まえて選ぶのが確実です。複数モールへ展開しているなら、楽天の物流戦略と自社の在庫を一元化できるかも判断材料になります。導入までの期間は繁忙期に間に合うかを左右するため、10月のイベントに間に合わせるなら8〜9月が検討の期限です。移行の手順は外部3PLへの切り替え実務に整理しています。
まとめ:市場の伸び率は自店の基準線になる
楽天グループの2026年度第2四半期は、国内EC流通総額が1兆5,322億円で前年同期比5.3%増、国内ECのNon-GAAP営業利益は297億円(前年同期比30.8%増)でした。この5.3%は、出店者が自店の伸びを評価するための基準線として使えます。ただし今回から流通総額の定義が一部見直され、過去数値も遡及修正されているため、自分の記録と直接引き算しないよう注意が必要です。実務の手順は3つです。①金額の伸びから単価上昇分を差し引いて件数の伸びを推定する。②月平均ではなくピーク日の件数で出荷能力を設計する。③カットオフまでの処理上限を数字で確認する。あわせて2026年10月30日の置き配原則必須化への対応と、SKU・在庫データの整合を繁忙期の前に済ませておくと、伸びをそのまま売上に変えられます。出荷体制を固定費で抱えるか変動費に寄せるかは、伸び率が四半期ごとに変わることを踏まえて選ぶのが現実的です。決算の詳細は楽天グループのプレスリリース、出店プランと費用は楽天市場の出店プラン、EC市場全体の規模は経済産業省の電子商取引に関する市場調査で確認できます。STOCKCREWの対応範囲はSTOCKCREW完全ガイドにまとめており、繁忙期に向けた出荷体制のご相談はお問い合わせや資料ダウンロードから承っています。
よくある質問(FAQ)
Q. 楽天の2026年度第2四半期の国内EC流通総額はいくらでしたか?
1兆5,322億円で、前年同期比5.3%増でした。2026年8月10日に公表された決算ハイライトによる数値です。同四半期のインターネットサービスセグメントは売上収益3,381億円(前年同期比4.2%増)、国内ECのNon-GAAP営業利益は297億円(前年同期比30.8%増)となっています。
Q. 流通総額の定義見直しとは何ですか?
楽天は2026年度第2四半期より国内EC流通総額の定義等を一部見直し、過去数値についても遡及修正を実施したと注記しています。前年同期の数値も新しい定義に置き換えたうえでの比較になるため、過去に記録していた流通総額と今回の数字を直接引き算すると実態と合いません。自社の分析シートは系列を作り直すのが確実です。
Q. 市場の伸び率5.3%は自店の売上目標にそのまま使えますか?
目標値ではなく、自店の伸びが市場を上回っているか下回っているかを見る基準線として使うのが適切です。市場が伸びていても店舗数や出品数が増えていれば1店舗あたりの取り分は5.3%増にならないことがあります。下回っていれば市場の伸びを取りこぼしていると判断できます。
Q. 金額の伸びを出荷件数の伸びに換算する方法はありますか?
自店の平均客単価の前年同期比を出し、金額の伸び率から単価の上昇分を差し引いて件数の伸びを推定します。単価が2%上がっているなら、5.3%の金額増は件数では3%前後と読むのが妥当です。倉庫の負荷は金額ではなく件数で決まるため、この換算をしないと出荷能力を過大に見積もることになります。
Q. 需要増に備えて出荷体制はいつまでに整えるべきですか?
10月の大型イベントに間に合わせるなら、8〜9月が検討の期限です。外部倉庫への移行には在庫の移管や連携設定の期間が必要なため、繁忙期の直前に着手すると間に合いません。あわせて2026年10月30日の置き配原則必須化への設定対応も、件数が増える前に済ませておくと作業が重なりません。
この記事の監修者
保阪涼子
株式会社KEYCREW 営業部長。物流会社で10年間、EC物流の現場担当・営業事務を経験し、EC・物流業界で通算10年以上のキャリアを持つ。STOCKCREWではサービス開始初期から商談を担当し、500社以上のEC事業者への導入支援を一貫して手がけてきた。YFF(Yahoo!フルフィルメント)移管時には1,000社超の顧客接点・フロー設計を主導。月間10万件以上の出荷管理に携わり、顧客の物流費を平均15%削減する成果を上げている。成約率50%を達成した営業手法には、「『売る』より『解く』」という顧客課題解決型のアプローチが根底にある。物流メディア(Logistics Today、ECのミカタ)へのインタビュー掲載実績も持つ。